ストレスだけでなく、ワクワクすることもパニック発作の要因に

2006年秋、パニック発作を初めて発症し、当初は突然の息苦しさと気を失うような初めての感覚に襲われ、どう対処していいのか分からず、その都度、救急車を呼んでいました。命に関わるようなことであれば仕方ないにせよ、病院へ運ばれる頃には毎回、体調は回復に向かっているのです。本当に必要な人のために救急車など安易に呼ぶべきでない。自分のとった行動に自責の念を抱きました。

とは言うものの、いざパニック発作になれば「今度こそ本当に死ぬんじゃないか!?」。15分から小一時間は文字通りパニック状態で生きた心地がしません。

自分の場合、パニック発作になるシチュエーションの多くは自宅や仕事場に一人っきりでいるときや、公共の場で単独行動しているケースで、同伴者がいるときはパニック発作に襲われる確率は低く、発作を起こしたとしても軽度で済むことが多いです。一人きりのときにパニック発作に襲われると、家族や知人に電話するようになりました。親しい人と話していると徐々に発作が収まって行くのです。パニック症では、自分なりの対処法のことを「安全行動」と呼びますが、知人と話をするのは私なりの安全行動なんです。

パニック発作は数ヶ月間起きないこともあれば、年単位で起きないこともあります。強いストレスを受け続けると発作が起こりやすくなるのは理解しやすいと思いますが、私の場合、それとは正反対のワクワクする状態が続いても発作を起こしやすくなるのです。

2013年9月、20代の頃によく訪れていたアメリカ西海岸に十数ぶりに訪れる機会があったのですが、懐かしい人たちや風景に再会できることがうれしくて、数ヶ月前から高揚感に包まれていました。旅立つ1週間前、仕事帰りに地下鉄の駅で不意にパニック発作に襲われ起き上がれなくなり、知人に迎えに来てもらいました。それから旅立つその日まで体調は芳しくなかったのですが、アメリカ入国する頃には体が軽くなり、不思議なことに11日間の滞在中は精力的に活動し、身心とも大いに良好でした。

後に知ることになるのですが、海外旅行や楽しいイベントの精力的に活動しているとき、体内にはアドレナリンが分泌され、疲れや不快な感覚が鈍るようです。しかし旅行やイベントが終わると、一気にアドレナリンの分泌が減り、その反動でどっと疲れが出ます。高揚感で気づかなかった、体の不快感に敏感になり、それが大きなストレスとなってパニック発作が起こりやすい状態になるのです。

2017年の年明けから春過ぎまでストレス状態が続き、頻繁にパニック発作を起こしていました。ストレス状態から逃れたいあまり急きょグアム旅行を決めました。通院していたクリニックの医師には行くことを止められましたが、勢いに任せて一人グアムへ飛びました。現地では体調がよく、身心ともにリフレッシュして帰国することができました。しかしそれから数日後、以前に増して神経が過敏になり、より頻繁にパニック発作を起こすようになって、通常の生活に戻すのに何ヶ月もかかってしまいました。


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