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SaaSが組織をどのように変えるのか?

3度の飯より、SaaSが好き。そんな僕がなぜSaaSが好きなのか、そしてなぜSaaSが世界を変えるのか、2018年最後に組織という観点で紐解いていきたいと思います。

ずばり、SaaSが好きな理由は、

組織力・文化が最も影響するビジネスモデルだから。


僕の大好きなSpotifyは従業員数3000名、Netflixは従業員数5000名。世界に与えているインパクト以上に組織が小さい印象です。そして良いプロダクトを作っている組織は、プロダクトと同じように組織作りにもとても力を入れてます。

企業は競争することで文化を失う

従来のビジネスを運営してきた企業が成長とともに、なぜ文化を失うのか?
非常にわかりやすい例を、キム・キャメロンさんが開発された組織文化のフレームワークに沿って説明します。このフレームワークでは4つの文化に分類されています。

例えばAppleの例。創業期、ウォズとジョブズが会社を立ち上げます。
最初はとにかくイノベーション文化が強い。1家に1台のパーソナルコンピュータを作るべく奮闘します。

Apple IIが世の中に認められ始めると、仲間同士での強い絆が生まれます。「俺たちは最高にクールだ。」と。イノベーションと家族文化が共存するような組織文化を作ります。

そしてIBMとの競争期です。スカリーがCEOになり、マーケティングやセールスに重きを置きます。ここからAppleの文化が壊れます。
トップダウンの組織に変わり、管理職が増えてきます。

そして社内の中で重要なのが、イノベーション < 売上やりがい < 売上に変わります。ジョブズが新しい製品開発に力を入れても、社内では嫌がられるようになります。

組織文化を変えるより引用

そして、Appleは崩壊しました。競争に目がいくと、短期的な勝利が重要になります。そして本来最も重要な、イノベーションという言葉はどんどん社内から消えていきました。

そしてこの傾向はAppleのみならず、ほとんど全ての企業に当てはまります。

ホールフーズ、ピクサー、ザッポス、エアービーアンドビー、パタゴニア、ネットフリックス、アリババを分析し、そこに共通する偉大なチーム「エクストリーム・チーム」についてまとめた『EXTREME TEAMS』によると、
優れたパフォーマンスを出すチーム・組織には下記の共通項があることが分かっています。

・チームメンバーが熱狂的なこだわりを共有している
・採用では能力よりも文化への適正を重視
・少ない優先順位に焦点を絞りつつ、新たなアイデアを求めて焦点を広げる
・ハード(定量)かつソフト(定性)な企業文化を追求
・衝突に伴う気まずさを恐れない

おそらくどの企業も創業時には持ち合わせているでしょう。誰に聞いてもそりゃそうだという話になる。

ところが売上や成長を重要視するあまり、いつしか能力で採用をしてしまったり、定量的な指標で容易に判断できるようにルールや制度を作る。そしてAppleと同じように、いつしかマーケット文化がイノベーション文化を喰います。

でも仕方ない。企業が存続するために、資金や利益は空気と同じように必要です。

これが企業の平均。マーケット文化が強いのは競争で勝つために。

一昔前であれば、アトラエも世界を魅了するためには、どうしてもマーケット文化を強めないといけないフェーズがきたでしょう。

だってサービス伸ばしたいし、いろいろな人に使ってほしい。そのためには、セールス活動に力を入れて、競争にかってプレゼンスを高めていかないといけない。

そんな中SaaSが到来する

SaaSは継続課金ということ以上に、ビジネスの根本的なルールを変更しました。SaaSにおいて勝利を勝ち取るためには、行動ロイヤリティではなく、心理ロイヤリティが重要です。

継続型のSaaSビジネスは、安い・目立ってるから、そういったマーケティング施策で優位に立っても勝負には勝てません。クライアントと期待値をすり合わせ、満足してもらいNPSを高めてChurnRateを下げていく。

▼行動ロイヤリティの例

安いから近くのセブンイレブンに行こう。でももっと近くにファミリーマートが出来たらそっちに行くけどね。

▼心理ロイヤリティ

あのセブンイレブンは店員さんがとてもいい対応をしてくれる。仮に近くにファミリーマートが出来ても、あのセブンイレブンが好きなんだ。

つまり、ビジネスのキーは、マーケティングからサービスの質に移ります。ビジネスを伸ばすために、Salesを大量に採用して売りまくるという従来型の勝負の仕方ではうまく行かなくなります。

継続しないとビジネスとしてうまくいかない

更にどのようにすれば顧客が満足し、心理ロイヤリティを高く感じてくれるか。何があればChurnが下がるか。現場の中での試行錯誤がとても重要です。ビジネスの難易度は間違いなく上がっています。

組織が1つの目標に向かい、現場に権限を委ね、得てきた暗黙知を形式知に変えて組織全体に適応する。

まさに今までのOrangeやAmber組織だと最も苦手とする部分です。エンゲージメントの高い組織がSaaSビジネスでは間違いなく力を発揮します。

全員経営 ―自律分散イノベーション企業 成功の本質より引用

勝つための要素が変わると、強い組織の在り方も変化します。
厳格な個人別の目標管理よりも、定性的な状態に対してチームが一致団結し、目標に向かうOKRの方が良いに決まってます。

かつてサービス業が中心となったプロフィットチェーンは、SaaSビジネスを運営する企業にも当てはまります。Salesの売り方ひとつで、サービスのブランドを損ない、Customer Successの行動ひとつで、劇的なChurnRate減少につながる。コミュニティがあることで、プロダクトに対するNPSが上がる。

SaaSでは全ての役割がリレーのように繋がる。1人でも邪悪になれば、全てが崩壊する。

これが最も面白い。ビジネスを伸ばすルール・方法が、SaaSの到来でルールチェンジが起きようとしてます。

強い組織・チームこそが、ビジネスを加速させられる時代が来ました。もっとも人間が過ちを犯しやすいビジネス・お金が絡む領域で、本質的な価値に目を向けないと淘汰される。

・チームメンバーが熱狂的なこだわりを共有している
・採用では能力よりも文化への適正を重視
・少ない優先順位に焦点を絞りつつ、新たなアイデアを求めて焦点を広げる
・ハード(定量)かつソフト(定性)な企業文化を追求
・衝突に伴う気まずさを恐れない

まさにこれをこだわり抜いて文化を作ったチームが勝つ。だからSaaSは面白い!

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