キャラクター描写の改稿②
主人公・揺のキャラクター描写についての改稿の続きです。
彼女の複雑な性格を想像させるエピソードを加筆いただいた第二稿ですが、私が気になったのはこちらの箇所でした。
該当部分だけ抜き出しますね。
あまりに相手に合わせる揺の言動を見て、クラスメイトの千年は違和感を抱いた様子。そして、どこか歪な揺の様子が気になったのか、少し距離を縮めるような提案をしてくる––––というやり取りです。
物語の中の「普通」を感じさせるポイントとして、千年の反応は読み手の反応にも繋がります。揺の言動を目にして、作中の登場人物が違和感を示すことがとても大事なんですよね。
ですので、この箇所で千年が揺の言動に引っ掛かるのは必須なのですが、そこから揺と距離を縮めようと思うまでの時間が少し短く感じたんです。
千年の驚きとそこからの思考を更に感じさせるために、もう少しだけ「ため」を作りませんか?と雛倉さんにご相談してみました。
その後にいただいたのがこちらの原稿です。
雛倉さりえさん
「さらに強調を、というご指摘を頂き、かなり悩んだ記憶があります笑
編集者の方と話し合いながら、〝はっとするくらいの揺の異様さ〟を出すために、他者の反応を大きくするという形をとりました。具体的には千年とのやり取りを数行追加しただけですが、改稿前後では印象がかなり異なるので、私自身もご指摘頂いて本当に良かった箇所だと感じています。」
千年の抱いた違和感(=揺が何故こういう人間になったのか)は物語の後半にも繋がっていくので、微調整ではありますが、伏線という意味でも重要な改稿でした。
さて、雛倉さんのYouTubeもどんどん更新されていますが、新人賞編が好評をいただいているみたいで二人で喜んでおります。
エンタメ系の新井と純文系の矢野の二人の編集者に登場してもらいましたが、二人から出てくる言葉も異なり、それぞれのジャンルの雰囲気の違いを体現しているようで面白いですよね。
新人賞の応募を考えている方のご参考になるようでしたら何よりです!
それでは、また次回。