キャリア形成になぜリベラルアーツが必要なのか?

今回は5月15日(月)に開催された、リベコの理事でアルスコンビネーターの矢萩邦彦さんによる講座『キャリア形成になぜリベラルアーツが必要なのか?』についてご紹介します。


 これからの時代にはスーパージェネラリストが必要になります。コンサルタントの世界でも、色々な領域を知っている人が、方法や情報を結合します。その結合の仕方がAIと同じでは価値がありません。AIにない視点や抽象度を持っていることが重要です。それができれば、AIが出て来ても我々の仕事はなくならないでしょう。
 
Yahoo!ニュースにコメントを行っているうちに、こんなニュースにこんなコメントをするとこんな反応が返って来るというのが直観的に分かるようになって来ました。しかし、それはなかなか言語化できません。これは人間と生成AIの境界領域です。何度も経験しているが言語化できないもの、それが今後我々の武器になります。
 
アートの世界では、昔は現実にどれだけ近いかに価値がありました。しかし、写真が登場したことで、写真には写らないアーティスト独自の視点やアイデアに価値が出て来ました。何に価値があるかは時代とともに変化します。
 
同じことが学びや仕事でも起こっています。以前は正確さや速度に価値が置かれていましたが、今では抽象化や臨機応変さに価値が置かれています。速度、情報量に関しては、人間はAIにかなうはずがありません。しかし、ここでいう正確さというのは、時・場所・人によって変わるもので、その基準は人間がプログラムしたものなのです。
 
 現代は、ChatGPTに代表される生成AIの時代です。この時代に必要なスキルは、AIと共有できる正確で具体的な質問をする能力、そしてAIとは関係なく自分で考える能力です。

生成AI時代のコンサルタントの価値と責任として以下の3点挙げられます。
①   領域のプロとしての視点(その業界・分野の不易流行と最新情報を持っている)
②   第三者としての視点と客観的なデータ(内部の人間からは見えない、見えにくい、見たくないことを整理してまとめる)
③   共創できる対話力(他者から知らない情報や違う視点を突きつけられると、自分軸や直観力が露わになる。それをきっかけにして新しいことを一緒に作り上げて行くことができる)
 
「キャリア形成になぜリベラルアーツが必要なのか」について改めて考えます。キャリアには自ら選ぶ主体的キャリアと受動的キャリアがあります。前者は少しの経験でもキャリアになるので、キャリア形成には主体性が非常に大事です。
 
リベラルアーツ、アントレプレナーシップ、探求の共通点は主体性です。リベラルアーツは主体性を発揮するための知識と技術です。アントレプレナーシップは主体的でありたいと思う気持ち、探求は主体的な実践です。アントレプレナーシップを養うためにも、探求を実践するためにもリベラルアーツが必要です。このことから、キャリア形成にはリベラルアーツが必要であることが分かります。
 
現代のリベラルアーツは、情報の仕分け方、活用の仕方です。それを学ぶには古典から学ぶのが良いでしょう。古典といってもそんなに古くなくても、10~20年売れ続けている本なら、時代が変わっても使えるものです。
 
Well Beingとしての自由ということが最近良く言われます。ミランドラは、「自由に選択できる人間が最も幸せである」と言っています。では、どのようにすれば自由に選択できるのか? 世界の基本構造、自分軸、最新の世界観という3軸を持つことです。
 
日本で一番遅れているのが自分軸です。学校教育で自分を扱う時間が殆ど存在せず、答えが一つに決まる問題ばかり扱っているからです。日本だけではなく、中国や韓国等のアジアも同じです。欧米とは教育の根幹が違うのです。
 
最新の世界観とは、ChatGPTのように世の中で流行っているものに一度は触れてみることです。ChatGPTについて何も知らない、触れたこともないでは、現代の世の中でコンサルはできません。
 
この3軸を持って自由に選択できる状態であること、リベラルアーツを身に付けていることがキャリア形成には重要なのです。
 
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「リベラルコンサルティング協議会」
自らアップデートでき、豊かで潤いあるキャリアを歩める仲間を募集しています。
 
@liberal.consulting.association
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(仲井圭二)

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