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スタートアップCEO自身の評価のための15の質問で評価を受けた結果の公表(第1回)

どこでもかんたんVRのクラウドソフト「スペースリー」の代表森田です。2021年1月現在30人ほどとなり、人事評価制度の試験運用を始めていますが、それと同時に、自分自身、CEOへの評価を実施しました。この記事ではその質問項目と背景の考え方、またその結果についてまとめます。

以下の記事は大変参考になりました。また以下の記事でも言及されるマッキンゼーの記事も参考にしました。

スペースリーの状況や、経営者としてどうあるべきかという自分自身の考え方、また、当社VCのDNX VenturesDBJ CaptitalArchetype Venturesからのフィードバックをもらって第一回目の評価を実施してみました。

スタートアップの経営者として常に変化、成長を誰よりも早く実現していくのは当然求められますが、その中で、どういった点を磨くべきか、役割として今何を優先するべきかの参考になると考えていました。20人ほどから200人ほどの組織ではそれなりに意味のある内容と考えています。状況によっても評価は変わると思いますが、半年ごとか1年ごとか定期的にこういった評価を実施していけると気付けも得られて良いと考えています。

メンバーが理解し答えやすい文章にというのを意識しながら、また、評価は「そう思う」から「思わない」の5段階とシンプルにしました。また社内メンバーからの評価なので、マッキンゼーのレポートにある<ボードのエンゲージメント>、<外部ステイクホルダー>に関する部分は割愛しました。

匿名でのアンケートで、果たしてどういう結果になるのか不安はありましたが、結論からすると、やって良かったと思っています。結果や自由記載を見ながら、特に自由記載にはポジティブな意見も、厳しい意見もありました。

全ての結果、特に厳しい意見についてはより重視して真摯に受け止めなくてはいけないものかと思います。更なる会社の成長に向けて、自分のやるべき優先順位への示唆を得られたので、会社にとって、自分自身にとっては本当にやって良かったと感じています。会社のメンバーには、言いにくいことも含めてご協力いただき本当にありがとうございました!とお伝えしたいです。

評価者

まずは評価者の考え方です。今回は社内メンバーからのCEO評価としました。VCなどの第三者にというやり方もあると思いますが、今回はまずは社内でやってみることとしました。匿名で、できる限り率直な評価をしてもらうことを意図しました。もちろん匿名でどんな評価がされるのかには不安はありますが。。。

匿名である程度のグループになっている必要があるので、管理監督者、それ以外の従業員、契約社員かの切り口や、エンジニア/デザイナーか、ビジネスサイドかといった職種でのグループ分けもあります。

今回は、1) マネージャーでもある管理監督者、2) それ以外の従業員、3) 契約社員、という3つのグループにしました。

それでは評価項目を具体的に説明します。

【コーポレートストラテジー】

1. <MVV>CEO自らミッション、ビジョンを明確にし、またバリューを体現していますか?

そもそもスペースリーという会社自体の定義がなされ、適切な行動ができているかを聞く質問。スタートアップとして意識されるべきものを顕在化させた表現で、質問にしました。

2. <戦略/意思決定>CEOは事業戦略や事業方針の意思決定を迅速に行い、またその意思決定には信頼がおけますか?

ここは戦略決定の<迅速さ>と<信頼>の二つの要素がありますが、セットで考えるべきものと考えました。また、戦略や方針が正しいか誤りかはスタートアップにおいては、なかなか明確にはならないので、実効性が大事で、そこに必要な<信頼>という言葉にしました。

3. <リソース配分>CEOはスタートアップの資源制約がある中で、資金の配分や投資、人材の配置を最適化できていますか?

スタートアップは人もお金も足りない、という状態が前提になるので、その中で、お金の無駄使いをせず、また少数精鋭とも言える人材の配置が最適化できているのかという質問の趣旨として明確にしました。

【組織の整合性】

4. <カルチャー>CEOはMVVの浸透などによるカルチャーの醸成に必要な取り組みを実施していますか?

これもスタートアップ経営者として常に意識しないといけない部分ですし、特にMVVによってカルチャーが醸成されるという前提での質問にしました。人事評価や社内制度、自らの行動がそうなっているかで、みんなが働きやすい組織の整合性が取られている状態になっているかは重要だと考えています。

5. <コミュニケーション/意思決定プロセス>CEOは意思決定において社内で十分なコミュニケーションを行い、また、複数シナリオの検討や偏見の無い意思決定プロセスを踏んでいますか?

これは2.の意思決定への<信頼>に関連していますが、組織の整合性の観点からプロセスに関する質問で切り分けました。スタートアップでは<社内外向けのコミュニケーションの一致>が問題になることもありますが、趣旨として詰まるところ、重要なのは<信頼>があるか、<意思決定に納得感あるプロセス>が踏まれているか、という問題に分解することもできるものと思います。

6. <事業成長の方向>CEOは目指すビジョン実現、ミッション達成に向かって事業を成長させられていますか?

これは正しい方向に成長していっているかという観点です。売上やKPIの数字を伸ばしての成長はもちろん重要ですが、そもそもそれが正しい方向に向かっているかはスタートアップとしては何よりも重要だと考えています。

7. <組織設計>CEOは、MVVや価値観などの思想は一貫した中で、状況や見通しの変化を踏まえ、事業方針の変更や人材の配置転換などの対応を迅速に行い、組織の安定性と迅速な組織の変化の両立を実現できていますか?

マッキンゼーの指摘するところの「Organizational design<組織設計>: Combine speed with stability」ですが、質問の趣旨が伝わりにくい、分かりにくい部分と感じたため、長い説明的な文章の質問となってしまいました。スタートアップを取り巻く状況の変化は激しいものですし、常に変化していることが前提なので、そこに組織として大事なことが何かを見失わずに組織としての対応できているか、その意図が伝わる質問となるよう書き下しました。

【チームとプロセス】

8. <採用力>CEOは採用において優秀な人を惹きつけ、適切に採用、配置、維持できていますか?

スタートアップ経営者の役割として重要な部分。マッキンゼーの定義には含まれていない部分ですが、これは必要な質問だと考え追加しました。

9. <チームワーク>CEOはチームワークによって最大限パフォーマンスが発揮できるよう対処していますか?

チームの生産性向上に必要な仕組み作りやツール導入、また権限委譲もこの要素に入るものだと思いますが、とにかくチームのパフォーマンス向上への拘りは経営者として大事な部分として質問に含めました。

10. <指揮系統>CEOはチーム(1人チーム含む)への指示が明確であり、また、必要なチームの意思決定が迅速にできるように対処していますか?

チームが1人みたいな状況がスタートアップでは起きると思いますが、それも含めて、チームが迅速かつ自律的に動けるよう、指揮系統の健全性は経営者として気を配る必要がある部分と考えます。指示が曖昧、趣旨や背景がよくわからないまま、必要な意思決定にいちいち時間がかかる、とか、誰に聞いたら良いか分からない、決めるためのプロセスが複雑だったりすることが無いように対処できているか、という趣旨ですね。

【CEO/起業家としての姿勢】

11. <成長>CEOは常に新たな学びや脱学習などをしながら、自らの成長を実現できていますか?

起業家は誰よりも早く成長することが求められているのは当然です。ただ、学びという言葉だけだと、重要な「脱学習」が抜けるのでそれを意識するよう明記しました。学び、成長したと思っていることが、時に捨てないといけなくなることもよくあることです。

12. <コミット+規律>CEOは事業の成功に執着し、コミットしていますか?

「やり切る」、という姿勢、そこに自らが100%コミットしている、とメンバーから思われている状態であることも、当然とても重要なこと。

13. <KPI/プロダクトフォーカス>CEOはKPI及び研究・開発計画をしっかり理解し何が重要かを把握して行動できていますか?

結果、プロダクトの研究・開発はKPIにつながるものですが、研究・開発はどうしても中長期の要素もありますし、投資も重要な中、どちらも解像度高く把握し、優先順位付をしてフォーカスできているか、という観点で、KPIとプロダクトに関する研究・開発を並列にしました。スペースリーがテック系スタートアップという位置付けも反映されている部分かと思います。

14. <謙虚さ>CEOは真摯に謙虚さを持ってメンバーと接していますか?

マッキンゼーの記事でもそうですし、様々なところで必要な資質として指摘される部分なので重要な要素として含めました。

15. <倫理観>CEOは「社会の公器」である法人の代表としての倫理観を持ち合わせていますか?

個人的な考えで追加したものです。これがなぜ重要と考えているかを説明すると長くなるので割愛します。ただ、ミッションやビジョンの根底、土台となる部分ですし、また、社会にどう関わっているのか、社会の公器としての行動を意識することは、存在価値があり必要とされる会社を経営する上では忘れてはいけない点であり、今後、社会においてますます問われる資質だと考え追加しました。

その他

(自由記載)CEOの経営者として足りない部分、更に成長を求めたいことは何ですか?

(自由記載)このアンケートについてや、CEOへの意見を何なりとお願いします。

自由記載の質問で、用意した部分です。気づきも得られたら、ということでオプションの質問として実施しました。

(選択肢)匿名or記名orどちらでも良い

今回初めての実施で、気兼ねなく評価するためにはという趣旨で匿名としました。他方で、記名で伝えることの方がはっきり自分の意思を伝えられるという意味では良い点もあると考えます。そのため、匿名か記名か、またどちらでも良いかについても回答をしてもらいました。

結果と振り返り

結果をまとめると以下です。

CEO評価_noteのコピー

評価は1(思わない)〜5(そう思う)の真ん中3が平均なので、全般的には平均を超えていました。それはとてもありがたいですし、安心したところでもあります。目的は、どういった点を磨くべきか、役割として今何を優先するべきか気付きを得るためなので、この中で評価の低い部分が大事ですね。

<リソース配分>と<チームワーク>の部分が他に比べて低い結果になりました。資金配分や人材配置の最適化ができていない、ということですが、自由記載のコメントから推測するに、配分や配置の観点の根底には、業務の割振、権限委譲の問題が要因にあると推測されました。<指揮系統>が次に低いことも同様の問題が根底にあり、チームワークの観点も合わせて、業務の割振、権限委譲に対して、私自身がもっと本気で取り組まないといけないと解釈しました。

30人ほどとなり、今なお常に成長とともにやるべき業務も増え、どうしてもメンバーがマルチタスクで増える業務に対応しながらという状況があります。とはいえ、別にブラックでは無いと思います!(以下もご参考に!)

また、現状は、私自身が何かあれば自ら必要なことは率先して実行し、誰よりも汗を書いて取り組んでいると自負しています。でも、この状況がかえってメンバーのやりにくさを生んでしまっているということですね。反省しないといけないと痛感しました。

メンバーを信頼して欲しい、というコメントもあり、もちろん信頼をしていたつもりでしたが、であれば仕事のやり方自体をもっと変える必要があるのだと思いました。

さらにこれから大きなチームになっていく中で、組織がスケールして事業がそのペース以上にスケールしていくために、今優先してやるべきことは、これまで以上に権限委譲を進めてチーム構成及び裁量と責任をクリアにしていこうと決意しました。

時間かけて取り組むこともありますが、すぐにできることもたくさんあるので、その権限委譲の取り組みについては早速2021年2月から優先的に取り組んでいます。それについてはまた別にまとめられたらと思います!

質問11から15のCEO/起業家としての姿勢は、その5つの項目の中での比較ではKPIフォーカスに関する部分が他に比べると低いこととなりました。これについてもやることはたくさん残ってしまっているままなので、優先順位をあげて取り組んでいくこととしました。

おわりに

CEO評価では、社内の評価者に匿名が良いか、記名が良いかというのを聞きました。半数が、どちらでも良いし記名でも、と回答しているのは、高いのか低いのかは判断できないですが、比較的に風通しの良い状況にはなっているのかなと思いました。スペースリーのバリューに「オープンで果敢なコミュニケーション」がありますが、そういったカルチャーは感じてくれているのかなと個人的には感じます。(以下もご参考に)

結果を受けて、人によっては記名欄はあっても良いのかも、と思いましたが、というのも、自由記載のコメントは、厳しい意見も含めて掘り下げてもっと私自身も把握したいと感じるものもあり、コメントだけだと少し曖昧にしかどうしても理解できない部分があり、もっと生産的にするにはフォローアップもできればなと感じたこともあります。とはいえ、このままかもしれませんし、もう少し考えようと思っています。

CEO評価をVCに第三者として社内ヒアリングを行ってもらうようなやり方もありますし、色々なやり方があるかと思います。自分で自分を客観的に評価するというのは、日頃から意識していてもやはり限界があります。分かっているつもりでも実際の行動にうつせないこと、優先順位が周りの期待とずれていることも知らず知らずであるかと思います。結果を踏まえてどうするかは人それぞれですが、私の場合は、改めて、何が今大事かをメンバーから突きつけてもらって、すぐに行動するべきことと思いました。

個人的には、スタートアップ経営をされるCEOの方々は、メンバーが2,30人くらいの段階からでも、得られる気付きも多いでしょうし、CEO評価を継続的に行うことで、更にその気付きも多くなると思いますので、おすすめです。

そんなわけで、私自身も、スペースリーもまだまだこれからです。スペースリーでは、エンジニア、デザイナー、マーケ、FS、CS、幹部候補と一緒に働くメンバーを全方位で募集しています!ちょっとでもご興味持っていただけたら以下のページもご覧いただいて気軽にご連絡ください!

またスペースリーのブログも最後にリンクを貼ります。フォローや、好き、をしてくれたらとっても嬉しいです!!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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どこでもかんたんVRのスペースリーCEO、Founderです。 バックグラウンドはMBA@シカゴ大学院, 元経済産業省、東京大学院航空宇宙工学専攻(JAXA/ISAS 宇宙構造物研究室) https://twitter.com/hirokazumrt