【1分で読める小説】哀れな電話
お題:哀れな電話
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「お掛けになった電話番号は、現在使われておりません」
無機質な音声が流れる。やはり駄目か。私はため息をついてスマホを置く。
彼と連絡が取れなくなってから、今日で二年が経つ。あきらめきれない私は、もしや繋がるのではないかと微かな希望を抱きながら、時折彼の番号に電話する。
*
電話が鳴っている。その着信メロディに、男はどきりとする。
別れた彼女が事故で亡くなってから、今日で二年が経つ。連絡帳から何度削除しても、時折その番号から電話が掛かってくるのだ。