【1分小説】招待状
お題:風船、秘密、パジャマパーティー
お題提供元:お題bot*(https://twitter.com/0daib0t)
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わたしたちの秘密を教えてあげる。
そう誘われてやってきた彼女たちの家は、うっかり見落としてしまいそうなものだった。
赤いポストが目印と言われたけれど。まさかポストの中に家があるとは思わないじゃないか。
土曜夜、住宅街、電灯に照らされたそのポストの中から、こっちだよ、はやくはやく。楽しげな彼女たちの笑い声が聞こえる。
「どうやって入ればいいの?」
人間のぼくは、投函口から中を覗き込む。
「あら、招待状に付けておいたアレがあるじゃない」
「アレ?」
ぼくは招待状を取り出す。と、封筒の中からひらりと小さな紙片が落ちた。
切手だ。消印はない。夜空にカラフルな風船が浮かんでいる、そんな絵の切手。
「それをほっぺたに貼って」
言われた通りに貼ると、すうっとポストの中に吸い込まれて、気付けばぼくは彼女たちの家の中にいた。