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【1分小説】またこの場所で

お題:何度死んでやり直しても、結局あなたを好きになる
お題提供元:お題bot*(https://twitter.com/0daib0t)
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「うわあああ!!」

 眩しい。眩しすぎる。なんで。そして人は習性として眩しいものの正体を見たくなる。光の中心にいたのは君によく似た子だった。

「可愛いでしょう、ネザーランド・ドワーフっていう種類なんですよ」

 ウサギなんてもう飼わないと誓った。自分より寿命が短くて先に死んでしまうなんて耐えられなかった。お経も読んでもらって小さすぎる骨を丁寧に埋葬してもらって、毎日動物墓地に通って一年たってようやく気持ちの整理がついてきたというのに。

 気付けば君と出会ったペットショップの前にいて、そうして君と似た姿をした、茶色いふわふわに出会ってしまった。

「生後2ヶ月の男の子なんですよ。他のお客さんからも可愛いって人気で、この子を飼いたくて迷ってるお客さんも多くて」

「あうあうあう」

 飼わないぞ。その手には乗らんぞ。耳をふさいで店員の言葉を聞かないよう努力する。それでもカゴの中のウサギは黒い澄んだ瞳でこちらをみてくる。かわいい。いやかわいいのは分かってるんだよ。でも、またあんな思いをするのはーー。

 すると、ウサギが二本足で立ち、手招きするように前足をふった。

「あれ、どうしたのかしら。あんな動きするの初めて……」

「チャチャ」

 ふと君の名前が口から出て、つと涙がこぼれた。なぜならその動きは、昔の君にそっくりだったから。

 もしも生まれ変わりがあるのなら。

 いや、そんなことを言うのは野暮だ。生まれ変わりであってもなくても構わない。君と過ごした温かい日々を、僕は思い出したのだから。

 そうしてまた、僕はウサギを飼うことになったのだ。