深夜の高校に車で向かう話
どこまでも行けるはずがなかった。そもそも他人の車だ。自分の行く先をヘッドライトが照らすが、わたしが行くから光るのか、光るから行くのか、いまいち判別ができない。行きたいところはない。目的地は副詞にすぎない。わたしはやはり、シートをもっと低くすべきだったと後悔する。
思いつきには理由がある。むしろ、理路整然とした行動より思いつきのそれのほうが、理由がより深層にあり容易には霧散しない。だから高校以来時が止まっている部屋でくつろいでいるわたしに、親の車でドライブをしたいと思わせた見