育児で学ぶ、ビジネススキル~「家庭を経営する」とは?~
「育児がキャリアの妨げになる」
そう感じている当事者であるママ、パパは多いのではないかと思います。
その主な要因の一つとして、育児をすることによって経験できなくなる可能性が高い業務がある、ということが挙げられます。
例えば、
・大きな(労力や時間を必要とするような)プロジェクトの中心を担う
・海外の出張や転勤によるステップアップ
・緊急対応の業務を任される
など、上司や同僚の信頼を勝ち取れるかもしれない業務を担うことは難しくなってしまうこともあるでしょう。
本来、その業務を担うことで、
①一つのプロジェクトや責任ある仕事を全うした自信やスキルが付く
②また新たな業務を任される
③モチベーションが上がる
④意欲的に業務にあたり、また自信やスキルがつく
といった①〜④のサイクルでビジネスパーソンとして成長していく未来が見えるところが、育休や復帰後に働き方が変化することによって、それが断絶してしまうような感覚を受けてしまう人も少なくはないと思います。
しかし、「育児は仕事のスキルアップに繋がる」というのが私の持論です。
ただ、そこには育児に取り組むマインドを変えていく必要があると思いますので、今日はそこについて書いていきます。
家庭と仕事の共通点
「ワンオペ育児」という言葉もあるように、育児はオペレーションを中心に語られることが多い印象があります。
親自身がプレイヤーとして、育児に取り組んでいる以上、日々の育児をどう回し、どう効率よく育児と仕事を両立していくのか、というオペレーションの話題が中心になるのは当然のことだと思います。
しかし、企業活動(普段の仕事)で考えてみると、オペレーションは企業活動のほんの一部。
・企業が進む方向性を決め、市場で勝っていく方法を模索する経営戦略
・提供する商品やサービスを買ってもらう仕組みづくりとしてのマーケティング
・組織として、人を動かし、戦略を実行するための仕組作りやコミュニケーションのための人材マネジメントやリーダーシップ
・全ての企業活動に関わるお金の流れを把握するためのアカウンティング
・投資判断や撤退の判断に関わる価値の算出や資金調達の手法を検討するファイナンス
などなど、これ以外にも様々な領域の活動が含まれているのが企業活動です。
現場を回すために考えなければならないことはたくさんあるわけです。
しかしこれらは企業独自の活動というわけではなく、実は私たちが無意識に家庭で行っている活動とかなりリンクしています。
そもそも家庭では、
仕事によって得た収入を使って、
家庭内の人々が生きていくお金を使って、
残ったお金を、その場で人材(自分たちや子供たち)の教育として投資したり、先々の投資すべきタイミングを見越して貯金したりする活動をしています。(ファイナンスやアカウンティングのカネ領域)
そういった基本的な経済活動の他にも自分たちが主導して家庭内のルールを定め、行動規範を作り、新たに加わった組織内の人材(子供達)を育てていきます。(人材マネジメントやリーダーシップのヒト領域)
また、より良い条件で働ける環境を手に入れるために、転職活動や給与の交渉など自分たち自身を商品やサービスとして企業に売り込むこともしていたりします。(マーケティングなどのモノ領域)
これらの例を見ると、企業が行なっている事業活動と共通しているものがありますよね。
普段仕事で行っていることと家庭で行っていることが一致していると考えると、育児は仕事に活かせそうな気がしてくるのではないでしょうか?
「家庭を経営する」というマインド
家庭での活動は仕事と繋がる部分はありますが、さらに育児を行うことでスキルアップできるのは、マネジメントの領域です。
日々のオペレーションをうまく回すだけでなく、もう少し視座を上げて、管理職、経営陣の見ている視点で家事や育児に取り組んでみるのはいかがでしょうか?
ママさんパパさんお二人が取締役として、「家庭を経営する」というマインドを意識し、日々の家事や育児に取り組むことによって、マネジメントのスキルが向上するのではないかと考えます。
言うなれば、夫婦二人は共同創業者。誕生したばかりの「○○家」を成り立たせていくために、経営をしつつ、プレイヤーとしても家事育児を担う現場職でもあります。
ただ、企業と違うのは、営利目的ではないということです。
稼いで、規模を大きくすることが家庭の一番の目的というわけではないと思います。
強いてあげるのであれば、「家族全体の幸福度を高めること」と言えるのではないでしょうか。
つまり、株式会社ではその会社の株式の価値を高めることが最優先になりますが、家庭では家族一人ひとりが幸せだと思うことに価値を置き、その価値を最大化することが目的になります。
夫婦2人で(お子さんがいたらその子達の思いも踏まえて)思い描く人生、過ごし方をイメージしてそれを実現するために何をすべきかを考え、行動する。
これが「家庭を経営する」ことではないかなと思います。
冒頭に述べたように、オペレーションの話に終始してしまうことは、「家族全体の幸福度を高める」ということの一部分でしかない可能性があり、それは勿体無いことであると考えます。
またそれを実現する活動を通じて考えなければならない様々なことを実行していくうちに、マネジメントのスキルが身に付いていくのではないかと思います。
家庭を経営するために一番最初に考えること
まず夫婦2人で初めに考えなければならないことは、
「自分自身、そして夫婦として、いちばん幸せな状態はどのようなものか」
を考えることです。
企業でいうところの「ミッション・ビジョン・バリュー」を明確にするところから始めると、家庭に対する思いが共通のものになります。
企業の採用活動や従業員のエンゲージメント、仕事に対する意欲に関係するところになります。
家庭で言えば「お互いにどのようなことを大事に過ごしていくのか」がわかりやすくなります。
思いのすれ違いなどを減らしていくためにも必要ですし、子供たちにどう育ってほしいのかということにも関わってくることになります。
これは、夫婦として過ごしていく中で少しずつ追加していく、もしくは変化していくものではありますが、普遍的なものもあるでしょう。
まずは、「2人の幸せのためにはこれが絶対必要」という共通の価値観を見つけましょう。
例えば、「1日のうちに必ず2人(もしくは家族みんな)で過ごす時間を作る」とか。「個々のやりたいことを優先する」とか。
また、「何のために夫婦になったのか」ということを言葉にしておくことも良いかもしれません。
「どんなにつらい時でも支え合うため」とか「何でも包み隠さず話せる関係であるために」とか。
この辺りはお二人が納得している価値観であることが大事かなと思います。
そして、次には「夫婦として(家族として)○○年後どうなっていたいのか」を描いていきます。
明確であればあるほど行動の指針がハッキリしてきます。
しかし、この変化の大きな時代ですので、その通りに進むとは限りません。
曖昧でも構いませんのでお互いにしっくりくる家庭のイメージを持てればいいと思います。
ここまでくれば、「2人でどういう家庭にしたいのか」はすりあってくるでしょう。
些細なことですれ違いが起きても、初心に立ち返って考えてみると大きな溝にはならないと思います。
「育児の学びを仕事の糧にする」
「家庭を経営する」マインドを持ち、家庭内のミッション・ビジョン・バリューが決まったら、一旦それを自分たちが所属する組織について引き寄せて考えてみましょう。
果たして、自社はどのような理念で、何を目指して、どのような価値観を持った人たちが企業活動をしているのか。
そういったことを振り返ってみると、自分の所属部署が組織に果たす役割や、個人が組織に果たす役割が見えてくるのではないでしょうか?
さらには、管理者が自分達に何を望んで、期待しているのか、といったところまで思いを馳せることができます。
仕事で使うようなスキルを、「家庭の経営」に活かし、その経験をまたビジネスに引き寄せる。
例えば、プロジェクトで初めて会ったメンバーと、どのように準備を進めていくか、といった時のコミュニケーションの取り方や事前準備などは、第1子が生まれた時などの生活が大きく変わる際のご夫婦のコミュニケーションにとても役に立つでしょう。
家事や育児など家庭にまつわるマネジメントとビジネスのつながりを作り、ビジネス↔️家庭を行ったり来たりする中でスキルアップにつながっていくと思います。
次回以降は、経営資源のフレームワークといわれる、
・ヒト(リーダーシップ、人材マネジメント、健康管理)
・モノ(経営戦略、マーケティング、オペレーション)
・カネ(アカウンティング、ファイナンス)
の項目に分けて書いていきます。
こちらは膨大な量になるので、少しずつにはなってしまいます。
また、
・ビジネスのトレンドを家庭生活に活かす
・家事や育児の工夫をビジネスに活かす
など、ちょっとした情報は頻繁に発信していきたいと思っています。
今後も引き続きご覧になっていただき、是非ともフォローいただけますと嬉しいです!
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それではまた。
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