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卵とワクチン

ちょっと前になるが、鳥インフルエンザや養鶏場の火災などで鶏が大量殺処分になってしまい、それにより卵の価格が高騰したりして、それによりインフルエンザワクチンのmRNA型移行に拍車がかかった、という見方をしている識者がいた。でもそれには大きな疑問があり、まず前提として養鶏所というのは照明や暖房で常に電気配線を多く使っており、古くなった配線から引火しやすいことからもともと火災は発生しやすく、決して望ましくはないがそれ自体はけっこうよくあると言えばある。

で、インフルエンザワクチンというのは鶏の卵にウイルスを注入して培養させ、それを不活化させたものを皮下注射で人間に打っている。なので卵が採れなくなれば製造できなくなり、必然的にmRNA型に移行せざるを得なくなる?!と思いきや、それはどうやらちょっと違う。ワクチン製造に使われているのはウイルスを培養させる必要から有精卵(温めるとヒヨコがピヨっと出てくる卵で一般小売店に打ってるのは大半が無精卵)であり、ワクチン製造専用の養鶏所というのがあってそこでそれ用の有精卵は生産されている。(鶏は雌だけでも卵を産めるわけだがそれが無精卵で、要するに雄によって受精してない卵、人間で言えば排卵と同じ)なので一般小売店に流通させるために無精卵を多く生産している養鶏所からの卵が減っても、インフルエンザワクチンの製造には直接は影響ないものと思われる。

尚、卵が採れなくなったことでタンパク源としてコオロギ食を推すには追い風となった面もあったが、ワクチンとの因果関係は認められない。認められないのだが、「因果関係あり」とした方がホラーストーリーとしてはある意味面白く、それを言う識者というのも確信犯的にある意味それを面白がっている。「世界の真実」を語ることで大衆にマウントを取り、不安や恐怖を煽ることをある意味楽しんでいるようにも見え、それはベクトルが違うだけで結局テレビの煽り魔と本質的には変わらない害悪だとも言える。

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