人生、転職、やり直しゲーム 第1章

【まず、総務の課長の話を聞く】

俺は総務の課長の話を内線電話でそのまま聞いた。

「昨日は休みの日だったのに、引越しの手伝い大変だったねぇ」

何だ?労いの言葉を言いたいだけか?
総務の課長は、話が長くてつまらないので有名だ。
さっさと本題に入ってくれ。

「さっき、
古道具屋の『お宝買い叩き屋』から、
『引越し時の不用品買い取ります』って営業電話がきたんだ。
ほら、昨日、鴨葱さんの引越しの手伝いした時に処分する家具を、
まだ、
中間処理施設に運んでないんだろう。
駐車場のダンプに積みっぱなしじゃないか。
出張査定に来るのOKしたから、
とっとと売ってしまうといいよ。

買取できないものは、
『お宝買い叩き屋』が処分してくれるって言うから、
無能君が、
わざわざ中間処理施設にダンプで持っていかなくて済むだろう?」

「え、お客さんの私物ですよ。勝手に売る約束しないでください!」

「どうせ、捨てるものだからいいじゃないか。
エコだよ、エコ。
それにうちの課若いのが言うには、
結構渋い家具や古道具だったんだって?
金になったら、引越し手伝った人間で山分けするといい。
残業代も出てないしね。
今、査定の人が総務課に挨拶にきたから、
うちの課の若いヤツら数人と
駐車場のダンプの方に行ってもらっているよ」

まずい!
俺は、受話器を叩きつけて、駐車場に向かった。
俺が駐車場の車の間を革靴の底をガンガンいわせて走り抜け、
ダンプの後ろの荷台の前にたどり着いた時、
既に「お宝買い叩き屋」の従業員らしき男3人と
総務の新人が、
ダンプの荷台のツヅラを開き、
ウジだらけの死体を皆の前でさらけ出したところだった。
見られた!
そこにいる皆は、死体に釘付けになって凍り付いていたが、
俺の足音と、ゼイゼイ吐く息に気がつき、
俺の表情から、俺が殺したとわかったのだろう。
逃げようとしたが、
ツヅラの横で俺は皆に取り押さえられた。


BADEND お宝買い叩き屋

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