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それを、人のせいにしていた (中)


結婚出来ないのは、妹のせい。



それは多分、思春期からずっと
障害のある妹との将来への不安があり、
結婚しても一緒に住んで面倒をみなければいけない。
という、
勝手に決めた大きな重石を
勝手に背負い、
勝手に面倒をみてやろう。
という上から目線な気持ちを持っていたから。


だから、結婚出来ないという理由で別れた時、将来についての不安に潰れそうな時、
全ての悩みが、妹のせいになった。



……………


なんだかんだ5年ほど付き合った人がいた。
親にも紹介し、お互い適齢期だった。
最終的に別れることを決断したのは私。
というよりも、お互いそんな感じだった。
私はこの人とは結婚したくない、と思った。
はじめの頃は、あんなに結婚したかったのに。
結婚する、しない、そんな話もしたように思う。


その人と付き合う事になってすぐ、
まだ妹のことを打ち明けておらず、
ちゃんと言わなければ。と思っていた。

今の私からすると、
そんなに真面目に抱えて打ち明けなくてもいい、むしろ恋愛の楽しい時間を2人で楽しめ!
と言いたい。
(それができるか、今の自分でも自信はない。)

考えれば、考えるほど後ろめたい。
悪いことはしていないのに、隠してるみたいで辛い。
打ち明けよう!
意を決して電話をした。

実は、妹が障害をもっている。
一通り話した。
その人は言った。



『付き合うのはいいけど、結婚はできない。』


若かった。
今なら秒で別れるのに、今すぐ別れるなんて考えられなかった。

ものすごくショックだった。

あぁ、やっぱり思ったとおりだ。
障害をもつ妹がいると結婚も出来ないんだな。
そらそうだ。お世話大変だもの。
色んな考えが浮かんだ。
納得してしまった。
その場で涙が止まらなかった。
嗚咽しながら、

別れたくない。
このままとりあえず付き合いたい。

そう言った自分がそこにいた。



弱すぎた。


その傷はとても深く、
怒りにもならない。
過去の不安を全て現実にした。
やっぱり。としか思えなかった。



それから、妹とその人が会ったりもするのだけれど、そこは問題なかった。
それ以外に合わないところが出てきた結果、別れた。


別れたことは、妹のせいではない。
むしろ、もっと早く別れるべきだった。


別れてから、ものすごく考え、
悩んだ時期がある。
なにをどう考えても、妹のことが絡む。
私の人生なのに。


他の皆は悩むことなく結婚し、幸せそうだな。
私はもう、強く。
とりあえず強く1人で生きるしかない。
妹を見捨てるわけにはいかない。
ならば、なにがなんでも妹は守る。
だから、結婚もしない。


そう決めた。


だから、そう宣言した。



…つづく。

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