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息子の成長〜子供と大人の間で

先日、息子は13歳の誕生日を迎えた。ついにティーンエイジャーの始まりだ。
これからはどんどん大人の階段を登ってゆくのだな。

息子は同級生の中でも常に背は高い方で、生まれてこのかた小さかった事は一度もないが、最近はさらに、寝ている間に毎晩ニョキニョキ伸びてるんじゃないか?と思うくらい、雨後の筍のように成長が加速している。
本人は痩せているのを気にしていて、毎日6食くらい食べて夏休みは一日中キックボードに乗り街中を走り回っていたせいか、男子らしく肩や腕や脚の骨格がしっかりとして、大人並の体つきになってきているというのに、その体躯の上にのっている顔はまだ幼く、子供っぽさが抜けきれていない。
今の時期にしか見られないそのアンバランスさが、ちょっと不思議な雰囲気を醸している。
息子の友達も似たような感じで、しばらく見ないうちに皆一様にすごく背が伸びて成長著しくビックリするが、まだまだ小さな頃の面差しが残っている。

息子のアンバランスさは精神面でも見られ、何か注意すると、
「うるせぇ!黙れ!」などと捨て台詞を吐き、子供部屋のドアをバーンッ!!と勢いよく閉め拒絶されたりする。
そういう時の息子は、ほんとカワイくない。
そうかと思うと一転して、お母ちゃんハグして〜と甘えてくる。
すでに私を見下ろすくらいの身長で体だってずっしりと重たいのに、未だに膝の上にも乗って来る。息子のデカい体は私の膝からほとんどはみ出し、ずり落ちそうな状態なのに…。
たぶんあと1年もしたらベタベタしてこなくなると思うので、今のうちにスキンシップはいっぱいしてあげようとも思うけど、親に暴言を吐いたりする時の息子には猛烈に腹が立つし、そのあと急に甘えてこられても、こちらの気持ちが切り替えられない時も多々ある。

息子の中では反抗心と甘えん坊の心が、日々せめぎ合っているようなのだ。

何度もそれは小さい子だけがすることだよと教えているのに、息子は家の中では未だに自分のことを”Aちゃんは〜”と、ちゃん付けの名前で呼ぶ。
お母さんにまだ甘えたりしていることも人には知られたくようで(まぁそうよね…)、絶対に他の人には言っちゃダメ!と釘を刺されている。

私がドラマを観たり本を読んでいるといつも、お母ちゃん!こっち見て!見て!と、自分の方へ注意を引こうとしたりするくせに、
「見てるよぉ。いつもお母さんはAちゃんのこと見てるでしょ」
「すっごく遠くまで遊びに行っちゃっても、いっつもお母さんはGPSからAちゃんのことを見てるからネ 」
とニンマリすると、どこに居るかいちいち見ないで!やめて!と、ものすごく嫌そうな顔をする。
最近は学校帰りに友達と遊びに行ったまま、遅くまで帰って来ない事も多い。
こちらでは小学生からスマホ持参で学校へ行くので、あまりに帰りが遅い時はGPSで居場所を追跡しているが、メトロやバスを乗り継ぎとんでもなく遠い地区まで行っている時もあり、行動範囲が広がり過ぎて見失いそうになり、さすがに心配になることもある。

今年の誕生日ケーキの写真は撮り忘れたのでこれは以前のもの。
ここ数年は息子のリクエストでいつも抹茶あずきクリームロールケーキを作っているが、
誕生日ケーキだというのに色合いも地味でぜんぜん映えない… 苦笑


息子が4歳から2年間くらい、子供のための建築学校という名目の工作教室のような所に親子で通っていた。
そこでは現役の建築家が講師をしていたが、建築家を育てるというような大それた目的ではなく、子供の創造力を育くむというような方針で運営されていたと思う。
教室に置いてある素材や工具は自由に使い放題で、毎週テーマに沿って、無人島の岩場に立てる小屋の縮小版、海底にあるミニチュアの街、風船を使った宇宙船、角砂糖で作るビルだとかを作った。
毎回独創的なテーマにワクワクして、親も夢中になって作っている家族も多く、私も毎週教室に行くのが楽しみだったが、息子はあまり乗り気ではなく、教室の中をウロウロしたり、手が止まってボケッとしていたり集中力に欠け、気付くといつも作っているのは私だけで、残念な気持ちになると共にやる気のない息子に時々イラッときたりした。
ある日、楽しくないの?と聞いてみたら、「全然楽しくないし、イヤだ」と言われてしまった。
どうして?とさらに聞くと、「ぼくはお母さんや他の子みたいに絵が描けないし、好きなように作ってって言われても、どうしたらいいか分からない。もう行きたくない」と言うではないか…。
私も夫もお互い分野は少し違うがデザイン関連の仕事を長年してきたので、子供にも小さな頃から絵を描いたり楽器を弾いたり、何か想像力を伸ばすようなことを体験させてやりたいと思っていたが、それは親の勝手な思いだった。
自分の子といっても別の人間だし、5、6歳の子供にだってプライドはあるのだな…と深く反省した。

それからは自主性に任せようと、本人がやりたいと言ったことはやらせてきたが、フロアボール(室内で行うアイスホッケーに似たスポーツ)、パルクール(走る・跳ぶ・登るといった忍者みたいな動きで身体能力を引き出すスポーツ)、空手などなどスポーツ系の習い事もやったがどれも長続きせず。
そもそも息子は教室などに行って習う、というのがあまり好きではない様子。
人見知りの息子は、大人の先生を前にすると萎縮してしまうようなのだ。

興味があるのはオンラインゲームだけという息子に、何かもっと他にも夢中になれることはないのか…と半ば諦めていたが、数ヶ月前からとつぜん絵を描き始めた。
厳密に言うと絵ではなくて、グラフィティアート風の文字をマーカーを使って手書きレタリングしている。
いつの間にかお小遣いで何色ものマーカーを買っていて、どこでこんなこと覚えたんだろ?って感じで、毎日何時間もせっせと摩訶不思議な形のフォントを書いているのだった。
ある日、画材屋さんに一緒に行って選んでほしいというので、この国に住んでから初めて画材屋に行った。
画材屋独特の雰囲気は世界共通って感じで、壁一面にずらりと色別のグラデーションで何種類ものマーカーが並び、その中にはコピックなど日本のメーカーの物も幾つかあり、私もテンションが上がった。
これはお母さんも学校で使ってたんだよと説明したり、絵の具や紙など沢山の画材を眺めていると、あの頃は貧乏学生で、画材にお金を使いたくて食費を切り詰めてでも節約したよなぁ…と学生時代を思い出し懐かしかった。
それに比べて、息子なんてまだ中学生なのに、結構いい値段の画材を簡単にいろいろ買ってもらえるとはなんて恵まれているんだろう、とも思う。しかもそれは息子にとっては普通のことで、とくに有難いとも思ってなさそう。
これが当たり前と思ってほしくない、と苦言を呈したくなるけど、苦労知らずの今の息子には何を言っても響かないだろう。
これから親元を離れ自活するようになった時に分かるのかもしれない。かくゆう私もそうだったわけだし。

それからは、私はペンタブレットで、息子はマーカーで、それぞれ描きたいものを描くようになり、描いてる途中や完成すると互いの絵を見せ合うようになった。
こんな日が来るとはなぁ…と、ちょっと感慨深い。
今年の誕生日プレゼントもマーカーセットが欲しいと言われ、また一緒に画材屋に行った。

上手とかではなくても、自分が好きなこと、夢中になれることをやって、楽しいのが一番だよなぁ、と思う今日この頃なのだった。




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