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わたしの ”日本製”

年が明け、2021年になった。

大晦日、いつも私はささやかながら、お節を作る。
海外ゆえ、手に入る材料は限られているけれど、出来る範囲で作っている。
はじめは、日本のお正月恋しさに作り始めたけれど、今では息子も毎年楽しみにしてくれている。

元旦の朝、塗りの重箱や漆器を取り出すと、また新しい年を迎えたという清々しい気持ちになる。
漆器は、故郷で何百年も前から店を構える地元の老舗工房のものを、一時帰国するたびに少しづつ揃えた。
きりりとした漆黒と深い朱色が、日本の美意識を感じさせ、色とりどりのお節を引き立てる。

夫と日本酒をいただき、和食との組み合わせに舌鼓みを打つ。
お節の素材や飾り切りには、一つ一つに意味があること、料理名を息子に教える。
小さな頃から和食をよく作っていたせいか、醤油や塩味など味の好みは日本寄りになった息子。
息子の目には、日本の伝統行事は、どんな風に写っているのだろう。
成長し家を離れても、お正月を思い出す時、この食卓が心に蘇ってくれることを願う。

着物が着たいと言ったら、喜んで着付けも教えてあげる。
その時は、日本の伝統文様の名前や由来についても伝えたい。

将来は、日本に住む機会もあるかもしれない。
その時のために、目上の人を敬う日本の礼儀も教えたい。


春馬くん、
私はこの国で、半分日本人の血が流れる息子へ、私なりの”日本製”をこれからも伝えてゆくよ。

それが、未来へと受け継がれてゆく、希望になると信じて。




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