恩田陸さん『木洩れ日に泳ぐ魚』同棲解消カップル、最後の夜のサスペンス!
今回は恩田陸さんの『木洩れ日に泳ぐ魚』をご紹介します。
凄まじい心理描写で展開される、ミステリーを一気読みました。
この本はネタバレしたら、面白くないのでぜひ味わってみて欲しいです。
一緒に住むことを解消することに決めた、男女がいます。
高橋千浩と藤本千明。
アパートにあったお互いの家財はほとんど持ち出され、明日からは別々の日々が始まろうとしています。
がらんどうになった部屋の中で、2人はお酒を飲みながら、なんとか最後の夜をやり過ごそうとしていました。
しかし、ある1人の男を巡る猜疑心にとらわれ、笑顔の影では、緊張感でピリピリと張り詰めた空気に満ちています。
その疑惑はお互いに、あの男を殺したのは目の前にいる相手ではないのか?ということ。
密室空間の中で展開される会話を糸口に、2人の記憶の扉が次々と開いていきます。
読者の予想を裏切るような展開で、ページをめくる手が止まらなくなります。
果たして2人の感情はどこから湧いてくるものなのか。
家族愛、それとも恋慕?
誰が誰を殺したのか。
私という存在はいったい誰なのか?
本当のあなたは誰なの?
蓋をした記憶は靄(もや)のように、白昼夢を見せます。
そして得体の知れない違和感の真相に近づくにつれ、目の前にいる相手がまるで自分が知らない遠い人に見えてきます。
夜を越えてすべてが明らかになる頃、朝が訪れます。
「あなた、誰かを愛したことがある?」
あったはずの過去、あったはずの未来。
グラグラ揺らぐ現実の狭間で、掻き乱される感情を堪能してみてください。
男女の狡猾な心理描写も必読の価値ありです!
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