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【北海道時間.jp】第3回:函館市旧イギリス領事館の軌跡とリチャード・ユースデンの功績

函館市旧イギリス領事館の概要
函館市元町に位置する旧イギリス領事館は、かつての歴史を今に伝える貴重な建物です。1859年に函館市に設置された領事館の中で、アメリカとロシアに次いで3番目に古いものであり、その歴史は非常に深いものです。この領事館は、幾度もの大火によって再建されながらも、函館の異国情緒あふれる風景の一部として重要な役割を果たしてきました。現在の建物は1913年に完成し、1934年まで領事館として使用されましたが、現在は開港記念館として一般に公開されています。

歴史的背景と再建の軌跡
函館が国際貿易港として開港した1859年(安政6年)から75年間、旧イギリス領事館はユニオンジャックを掲げ続け、異国情緒あふれる港町函館を彩ってきました。数回の火災に見舞われた後、再びこの場所に再建されました。現在の建物は1913年、イギリス政府工務省上海工事局の設計により完成し、1934年に閉鎖されるまで領事館として使用されました。1979年には函館市の有形文化財に指定され、1992年の市制施行70周年を記念して復元されました。この年から一般公開が始まり、2009年には開港150周年を機に展示内容を一新し、開港都市のシンボルとして新たな歩みを始めました。

イギリス領事館の歴史的歩み
函館市旧イギリス領事館の開設は1859年、称名寺に仮領事館を開設したことから始まります。その後、1863年に元町地区に領事館が落成し、1865年には火災により焼失しましたが、仮領事館を設置し、現領事館付近に再建されました。1879年の函館大火により再び焼失し、1885年に現在の場所に新築の領事館が完成しました。しかし、1907年の大火で再び焼失し、臨時に招魂社坂の領事私邸にて執務を行いました。1913年に再建された現在の建物が完成し、1934年に領事館としての役割を終えました。その後、1940年に函館市がイギリス政府から領事館の建物を買収し、市立函館病院の施設として使用されました。1941年には憲兵隊が建物を接収し、1945年の終戦後に接収が解除され再び市立函館病院として使用されました。1979年に函館市有形文化財に指定され、1992年には函館市旧イギリス領事館(開港記念館)としてオープンしました。2009年には開港150周年を記念してリニューアルオープンし、現在も多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。

リチャード・ユースデンの人物像とその功績
リチャード・ユースデンは、幕末に来日したイギリスの外交官であり、函館のイギリス領事館の初代領事であったクリストファー・ホジソンが突然の解任により離任した後、副領事代理として夫人らと共に来日しました。これは数か月の代理領事であり、後任のヴァイスが着任するまでの間、職を務めました。在職中、1860年にオランダ人の殺人事件が起こると、横浜へ赴いて神奈川奉行と対処方法を協議し、問題解決に尽力しました。その後、一旦帰国したものの、1865年に再び函館に戻り、ヴァイスがアイヌ人骨盗掘事件に関与したため解任され、エイベル・ガウワーが着任するまでの間、代理領事を務めました。

ユースデンは、1867年に正式な領事として着任。彼は戊辰戦争と蝦夷共和国の樹立に遭遇し、外国人保護に奔走しました。彼は蝦夷共和国の基盤が脆弱であることを報告し、江戸のイギリス公使ハリー・パークスに知らせるなど外交官としての職責をしっかりと務めていました。また彼は、函館公園の開発計画に携わり、工事の責任者であった浅田清次郎や役人、農民らと共に工事を進めま地元の方々との交流を現場レベルで進めていました。さらにユースデン夫妻は毎年25円の寄付を行い鶴岡学校の創立にも貢献。彼らは函館の街づくりに大いに貢献し、小柄な領事として「豆コンシロー」と呼ばれて親しまれました。帰国後も函館への愛着を示し、住宅の扉に「ホッカイドウハウス」と表記し、函館の様子を尋ねるなど、函館への思いを忘れませんでした。

函館市旧イギリス領事館の施設と展示
函館市旧イギリス領事館は、訪れる人々にその歴史を伝えるため、多彩な展示が行われています。領事執務室や家族居室など、当時の様子を再現し、訪れる人々が当時の生活を体験できるように工夫されています。また、歴史的建造物としての紹介や開港ミュージアム、函館開港の歴史室、開港記念ホールなども設置されています。特に、リチャード・ユースデン領事にスポットを当てた展示では、彼の功績や人柄を紹介しており、彼がいかにして函館の街づくりに貢献したかを知ることができます。また、ユースデン夫人のティータイムの様子を再現した展示もあり、函館を愛した彼らの生活を垣間見ることができます。

最後に
函館市旧イギリス領事館は、その歴史的背景や人物にスポットを当てることで、その魅力が一層引き立ちます。異国情緒あふれるこの場所は、函館が国際貿易港として開港した当時の歴史を今に伝えています。リチャード・ユースデン夫妻の功績や、函館の街づくりに貢献した姿勢に感銘を受けました。彼らの熱意と努力が、函館の発展にどれほど大きな影響を与えたかを知ることができました。

函館市旧イギリス領事館は、訪れる人々に歴史の深さと美しさを感じさせる素晴らしい場所です。異国情緒あふれる風景とともに、当時の生活や文化に触れることで、函館の魅力を再発見することができました。この歴史的な建物が今もなお保存され、多くの人々にその価値が伝えられていることに感謝の気持ちを抱きます。これからも函館市旧イギリス領事館が、函館の歴史を伝える重要な存在であり続けることを願っています。

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