morishiho

あこがれたりしゃべったり書いたりするのが好きです。

morishiho

あこがれたりしゃべったり書いたりするのが好きです。

最近の記事

映画薬

ストレスみたいなものが限界に近づいてくると、 食欲がなくなり、ぼんやりとしてきて、 『ローズマリーの赤ちゃん』のオープニングに流れる、 ミア・ファローの歌が聴こえてくる。 そして頭の中にそれが流れてくると、 なぜかちょっと元気が出る。 なんでだろう、やはり娯楽のパワーはすごい。 こんなとき、映画は結局役に立つものだなと思う。 役に立たないようでいて。 薬のように適切に処方される。 もちろん間違うこともあるし、 接種したら悪化することもあるし、 全くの素通りで、しらんぷりされる

    • アイスのスプーン

      同級生の男子が中学か高校のころ、 うちがやっていた模型屋にきて、 アイスを食べようとして、 おばちゃんスプーンちょうだい、 というので、 母が使い捨ての木のやつを出したら、 なんか最初から汚くて、 洗っても取れない、と母。 洗って取れねえなら、なめっても取れねえんだ。 と男子はゆっくり言って、そのスプーンを使っていた。 本人さえ覚えていないだろうけど、 わたしはその理屈と言い回しを長年覚えていて今も時々思い出す。 洗って取れないならなめっても取れない。 いや、厳密にはなにかが

      • 小豆島の思い出

        妹と二人で行った小豆島 椿の道のベンチ 来ぬバス 独身時代、もちろん子供もいない、 身軽で自由だったころに、 妹と深夜バスに乗って香川県に行った。 なにかの雑誌でうどん特集を見たのだ。 香川ではなぜかベーグルを買いこみ、 袋に入ったかき氷を齧りながら歩き、 うどん屋をいくつもはしごし、 朝ごはんもおやつも昼ごはんもうどんみたいな。 小豆島に渡って宿に落ち着いたんだっけかな。 小豆島はオリーブで有名なのに、 船を降り立てば胡麻油の匂いでいっぱいで、 なんで?って言いながら、

        • 春なので

          あっという間に四月だ。 このところ頭の中に流れている音楽は、 『春なのに』という柏原芳恵の昔のヒット曲。 子供のころ、いったいなにがあったんだろう、と思っていた。 というより、わからないことがあるんだというのを知らされた感じ。 制服を着てすごくかなしそうに歌っている若い女性歌手の姿は、 やっぱり忘れられない。 近所のお姉さん友達はみんな真似っこをして、なり切って歌っていた。 だからお姉さんたちの歌。 で、とっくに大人になってからも永遠に追い越せないまま、 毎年春になるとやっぱ

          雪が降った。 その辺の十代くらいにはテンションがあがる。 いいものだ。 『スノウ・クイーン』というなつかしい曲を聴く。 聴きながら思い出したのだが、 年末にツタヤの宅配DVDで、 これまたなつかしのアニメ『雪の女王』を観た。 (DVDが送られてくるっておもしろい。) とにかく主人公の女の子ゲルダがすごくて、 ものすごくて、ものすごかった。 あの子の手の冷たさは、 雪の女王に勝つためにますます冷たくなっていって、 着ているものもどんどんどこかに忘れて来て、 どんどん寒くなるのに

          ファミレス

          こないだママ友3人と、 久しぶりにランチ会をしたのだけど、 なんのために生まれてきたんだろうって思わない? って言ったら、 想定外に空気が固まってしまった。 わたしはびっくりし、 一人はあきらかに怪訝そうな顔をし、 一人は困ったようにほほえんでて、 一人は少し考えたあと、 今こうやってランチをするためだよ! と言った。 で、わたしはあせって、 ますますわけのわからないことを言って、 それをまぎらすためにまたへんなことを言った。 本当に、 ごめんなさい、 ありがとう、 ゆるして

          ファミレス

          『バベットの晩餐会』を久しぶりに観た。

          2024年の映画館はじめに、 「午前十時の映画祭」で『バベットの晩餐会』を観た。 最初に観たのはいつだっけ。十代後半くらいか。 ビデオ借りて観た時もあるし、 テレビで流れているのをたまたま観た時もある。 友達のお姉ちゃんの「一番好きな映画」だった。 別の友達のお兄ちゃんの「人生観が変わった映画」は、 『ゴースト/ニューヨークの幻』だったな。 いずれにしても、映画館で観たのは今回が初めてかもしれない。 記憶があっていれば。 『バベットの晩餐会』、やっぱりよかった。 なんという

          『バベットの晩餐会』を久しぶりに観た。