スーパープレーの裏側に隠された郵便配達員の仕事(サッカー観戦記)
都道府県対抗サッカー大会というのをご存知ですか?
天皇杯や国体という大きな大会ではありません。
もっと地域色が強い対抗戦のことなんです。
これがとても面白くて、普段スポーツ観戦をしない私でも食い入るように見てしまいます。
とりわけ白熱するのが北海道対沖縄の試合です。
やはり一番距離が離れたところの試合は時間もかかりますし、日を追うごとに選手たちに感情移入してしまうのです。その分、時間も奪われてしまうのですがw。
キックオフは東京の代々木公園。この前の試合は久しぶりに当日にファーストタッチがありましたね。
大概選手たちは仕事に出ていて、二三日放置はザラなので、スピーディーな試合展開に興奮してしまいました。
北海道の高野選手がドリブルで、近くに止めた自家用車に切り込み、そのまま沖縄に向かったことは大変驚かされました。
いつもの試合なら空港(空港戦)にもつれ込み、那覇か新千歳か、そのボールの行き先次第でほとんどの勝敗が決してしまうことが多かっただけに、多くの視聴者を裏切り、車へボールを入れたことは驚きを隠せませんでした。
でも結局東名高速のサービスエリアで追ってきた沖縄の喜屋武選手にボールを奪われました。
あのカットは見事でした。
高野選手は鰻をおごると言われ、彼が食べている間に、喜屋武選手はボールを奪ってしまったのです。
彼はそのままコンビニでボールを北海道まで送ってしまい、試合は決しました。
頭脳戦からのカーチェイス。鰻。そして再び頭脳戦。興奮しました。
しかしこれで終わりではなかったのです。この後の展開は誰も予想できなかったと思います。
後日ゆうパックが届き、そのまま美瑛のラベンダー畑にドリブルで切り込んだ比嘉選手が見事ゴール。
沖縄の勝利に全国が湧きました。
しかし何故か審判はそれを得点と認めません。
詰め寄る選手に、審判は首を横に振るばかり。その間にも、続々と沖縄の関係者や選手たちが美瑛に集まってくる。
ネットも騒然としています。
そんなとき、同時中継の首里城のモニターから笛が鳴りました。
ゴールです。
なんと北海道の選手がゴールしていたのです。
それはこういうことでした。
実は東名高速のSAで奪われたボールは、高野選手がすり替えていたモノだったのです。
彼は奪われた振りをして喜屋武選手を見送り、彼が去ったあとそのまま鰻の残りを食べ、それからコンビニに寄って、本当のボールを沖縄に送ったのです。
サッカー史に残るような超ロングスルーパスが決まった瞬間でした。
個人的には、何人ものディフェンダーをかわしてゴールを決めるメッシや、センターライン辺りからゴールを決めるベッカムなどの映像にも劣らない、彼等のプレイ集の中に、コンビニで伝票に沖縄の宛先を書いている高野選手の映像を差し挟んでもらいたいです。
もちろん彼がこの試合のMVPです。
自家用車からコンビニではなく、直接高速道路へ、さらに文字通りの替え玉を用意し、相手にそれを渡す。
ほとんど彼一人で試合を決めたと言ってもいいかもしれません。
ですが私たちはここでもう一つ、影の功労者たちがいたことを忘れてはいけません。
郵便配達員の存在です。
東京から沖縄まで、高野選手のパスを通したのは彼等です。
もちろん彼らは選手ではなく、仕事としてやっていただけです。でもやはり影の立役者と言ってもいいと思います。
それにしても、そんな輸送手段をもパスに利用してしまうなんて、サッカーとは大変に奥が深いスポーツですね。
選手たちにはこれからもどんどんこういう試合をしてもらって、子供に夢を与えて欲しいです!!
今度は国対抗の試合も観てみたいです。
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