初夏の岩手、宇宙を感じる奥州の旅|TRAVEL LIGHT #11
新幹線を途中下車してみたら
東北の温泉めぐりに行く道中、ある新幹線駅で降りてみた。その名は水沢江刺。
初めて名前を聞く駅で、降りてみたくなったのだ。人がいて町があれば必ず“何か“ある。それに私は、ただ空や山並みを眺めて、一日を過ごせる人間だ。
ホームのガラス越しに外を見渡したとき、直感は間違っていなかったと思った。降りてみてよかったと思える景色。すこーんと広がる空。
「ようこそ奥州へ」。その文字を見て、今自分が奥州にいると知った。知らない駅などと言っている自分が恥ずかしい。
奥州藤原氏といえば平泉。地図で調べると、車で30分かからない。道は驚くほどすいていて、窓を開けて爽やかな風とともに走り出す。
世界遺産・平泉へ
平日で人は少なく、ゆったり参道を歩く。この場所に流れる凛とした空気がいい。新緑が美しくて心まで浄化されそう。
金色堂は撮影不可だけど、望遠レンズで見てみたくなるほど。何万枚もの金箔、夜光貝の螺鈿細工。平安の人すごいなあと感心してしまう。
私は奥まったところにある、この大長寿院が好きでした。ずっとここにいたくなる静けさ。
奥州の郷土料理を食す
この地ならでは郷土料理が食べたいと調べてみると「八斗」という文字が目にとまる。八斗とは、小麦粉を練って薄く伸ばして茹で上げたものだそう。
車で5分の“お食事処さくら“へ。町の食堂でありながら、食の匠(県が認定した郷土食の技術を持つ方)による郷土料理を食べられる。頼んだのは八斗御膳。
しっかりお腹にたまったのに、つい食べたくなって“ずんだ餅“。
お餅がやけにおいしいなと思ったけど、このあたりでは400年以上も“もち食文化“が受け継がれているとか。代々受け継がれたおいしさ。ごちそうさまでした。
魅惑のテーマパークへ
さらに車で10分ほど、人の集まるスポットを発見。そこは“厳美渓“。エメラルドグリーンの川。歌謡曲がかかっていて、お土産屋にはバスツアーの方々。
橋を渡ると、謎の施設が現れた。こっちのほうが、めちゃくちゃ気になる。
“サハラガラスパーク“では、国内外のガラス製品が展示販売されている。独特な魅力にやられてしまい、ついつい写真を撮りまくってしまう。
この黄色いベンチになぜか惹かれる。自分が監督なら、ここはブツを渡す待ち合わせ場所だな、と謎のロケハン視点で写真を撮る(海外ドラマの見過ぎ)。
そんな妄想が掻き立てられる楽しい場所でした。
宇宙を感じる場所へ
さて、水沢に戻ってきた。また気になる施設を見つけた。“国立天文台 水沢VLBI観測所“。なんとこの地で、銀河系の地図作りや、ブラックホールの研究が行われている。まずは隣接されている“奥州宇宙遊学館“へ。
宇宙を学べる展示室がいくつもあって、なかなか見応えあり。
宮沢賢治と自然科学の関わりについての展示も。当時の緯度観測所を度々訪れ「風の又三郎」や「銀河鉄道の夜」などの名作を生んだのだとか。
外には、巨大な電波望遠鏡が。これで宇宙を観測しているのかあ、すごい。
この望遠鏡が、石垣島、鹿児島、小笠原にもあって、その四つで銀河系のすべてを観測できるのだと。月面上にある1円玉が見える精度って、すごすぎる。
しかし、ふしぎな偶然、この望遠鏡があるのはどれも私が行ってみたい場所。すべてを制覇する旅、という新たな構想が浮かんでくる...。
芝生と空と白い建物。どこにいるのかわからなくなる感じもよかった。
パンフレットを見て気付いたけど、ここは“奥州市水沢星ガ丘町“にある。星ヶ丘町って……いいね。
南部鉄器をお土産に
日も暮れてきたので、旅のお土産探し。南部鉄器の老舗、及源鋳造のファクトリーショップへ。
南部鉄器=鉄瓶というだけでなく、使いやすそうな鍋や小物もあって楽しい。
ふと目に止まったこちらの小物。カメの香炉。ウミガメ好きとしては、ほしいほしいとうんうん唸って購入。お香にも蚊取り線香にも使える。
前沢牛が食べたい
旅の締めくくりは地元の人気焼肉店“龍園“へ。
前沢牛が食べたいと探してたどり着いたお店。メニューには前沢牛、仙台牛、黒毛和牛と並び、そんないいお肉なのにリーズナブルな街焼肉価格。
なにを頼んでもおいしいお店と確信。もくもくの煙に包まれながら、いい一日だったなあと振り返る。
想像を超えた旅
目的もなく降りてみた駅。予定された旅もいいけど、どうなるかわからない旅もいい。未知との遭遇はいつも驚きに満ち溢れている(宇宙づいてる)。
またどこかで降りてみよう。
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おまけ(ガラスパークにいたカエル)
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