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読書記録10 『商店街のジャンクション』村木美涼 自分でない何かになること

こんにちは、だるまです。オリンピックの開会式ですね。

商店街のジャンクション

今回ご紹介する本はこちら、『商店街のジャンクション』

著者とは『箱とキツネと、パイナップル』で初めて出逢いました。『商店街のジャンクション』の方は、図書館で偶然見つけすぐ手にとりました。

『箱とキツネと、パイナップル』での題材は、
狐憑き×夢×平凡
で、だるまの興味にどストライクでした。

『商店街のジャンクション』の題材は、
着ぐるみ×自分探し×思い込み
で、これまたどストライク。

自分ではない何かになること

着ぐるみは商店街にある映画館で週末チラシを配るイヌです。着ぐるみに入る3人と、商店街の店主の人々の物語で、段々と変化していく人々の姿を描いています。

やはり、この小説の特異点は着ぐるみ。

着ぐるみに入ったことが無いので想像ですが、

外界からみえているのは着ぐるみの姿で、「自分」は見えません。その時、完全に着ぐるみになって「自分」は隠蔽されます。

自分ではない何かとして振る舞うという感覚は、コスプレなどに通じると思いますが、一種の憧れがあるのではないでしょうか。

この物語では着ぐるみに入ることを経て、3人が成長したりしなかったりします。

全員がうまくいく訳ではないけれど、少しずつ変わっていくその塩梅が表現されていて面白いです。

森見登美彦ぽさを感じる

村木美涼の小説は2作しか読んでいませんが、なんとなく森見登美彦らしさを感じます。

ちょっと仏教的概念が入っていて、ちょっと不思議で、非日常。

だるまの好みが詰まっているのかもしれません。

これからの著作も楽しみです。

かしこ

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