見出し画像

『DAO的発想で運営予算をEarn原資にするGameFiが流行る予想』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.26

■DAOはWeb3における次のカギになる|Ontology寄稿

DAO(自律分散型組織)はWeb3において重要な概念であり、新たな組織の在り方として注目されています。2022年はDAO元年とも呼ばれ、多くの仮想通貨プロジェクトが自前のトークンを持つなどして、DAOの構築を模索してきた年でもありました。

多くのDAO向けのサービス、ツールが登場し、革新的な試みも見られる一方で、DAOにおけるインセンティブのあり方は課題をはらんでおり、議論は尽きていません。

20世紀最大の発明は「株式会社」であり、DAOは株式会社の欠点を補い凌駕する可能性がある新しく最大の発明になる可能性を秘めている。

なんてことをよく耳にします。

で、DAOを調べるにつけて現状の社会についての課題認識と解決の方向性に惹かれワクワクしますし、同じように感じている方も多いと思います。

しかし同時に、やっぱりよくわからないな、という感想を持つことも多いのではないでしょうか。

明確な定義がないですし、完全な成功テンプレもなく進化・変化の途上なので理解が難しいのは当然だと思うのですが、もっとシンプルに考えてもいいのかな、と思い始めました。

そしてDAOの本質的な価値や仕組みはGameFiのEarnと相性がいいのではないかと考え始めました。


■なにを満たしていたらDAO?

DAOはオンラインコミュニティである。
DAOはトップやリーダーがいないフラットな組織である。
DAOはガバナンストークンやNFTなどの所有者の投票で意思決定する。
DAOはスマートコントラクトで報酬の支払いが自動化される。
DAOは暗号資産で報酬が支払われる。
DAOはブロックチェーンと不可分である。

などなど、DAOとはなにか?を調べるといろんな要件が挙げられています。ほかにもいっぱい要件・条件が挙げられています。

しかし実際にDAOを名乗っているところでそのすべてを満たしているところはないかもしれません。多くは一部だけの採用にとどまりますし、ただの掲示板の集まりに過ぎないところも多いです。

投票による意思決定と報酬の自動支払いを必須条件として挙げているところは多いものの、投票によらない活動、スマートコントラクトに規定されていない貢献の評価方法など課題が多いのが現状。

そもそも人の行動や成果を評価することはとても難しいことです。人事評価制度の難しさや納得感のなさを実感している方も多いでしょう。DAOにしたら公平に評価される、なんて夢のようなことは事実起きませんし。


どこまでやったらDAOと名乗っていいのか、最低限コレを満たしていないとDAOと呼んではいけない条件は何か?これまでのオンラインコミュニティと何が違うのか?

疑問がたくさん出てきがちですよね。

深堀していけば「勘所」というかニュアンスや本質がなんとなく掴めてはくるものの、株式会社のように登記すればそれが株式会社です、みたいなものとは違うのでフワフワしているのは間違いありません。

何を満たしていたらDAO?と考えるとよくわからなくなります。


■DAOは「一体化」が本質だと捉える

これまでの株式会社は資本家と労働者の棲み分け、二項対立の構造でした。
やりたいことを持っている経営者とお金のリスクを背負う投資家を分離することが始祖だということもあり、分断・棲み分けが必ずありました。

別の例だと「お店とお客さん」「アイドルとファン」「クラブチームとサポーター」「ゲーム運営会社とユーザー」など、提供する側と享受する側にはっきり立場が分かれるのがこれまでの社会システムだったと捉えることもできます。

DAOは、これらを一体化させるのが本質的な革新ポイントだと捉えるとシンプルに理解できると感じます。

会社が儲かる=従業員が儲かる、が相関関係はあるものの直接的ではなかったのがこれまでの株式会社で、資本主義が加速する中で資本家だけが莫大な利益を上げることを問題視したカウンターカルチャーにブロックチェーン技術が組み合わさった結果DAOという発想が生まれたことが根幹だと感じますので、
・資本家=労働者
・投資家=経営者
・お店=お客さん
・アイドル=ファン
・クラブチーム=サポーター
・ゲーム運営会社=ユーザー
と「一体化」させることが本質なんだろうと思います。

そして何を「一体化」させるのかというと「意思決定プロセスと成功の果実」です。

お店に何の商品を置くべきか、商品の利益を高く載せてお店の収益を大きくすべきか薄利にしてお客さんに安く買えるベネフィットを提供すべきか、お店の収益を誰にどう分配すべきか、

などを、お店とお客さんが運営当事者として一体化することが思想としてのDAO

「お客様の声」を集めてお店の改善につなげることはやっても、株式会社は株主利益の最大化のために改善したわけで、お店とお客さんが一体化することはありませんでした。唯一「株主になる」という方法はありましたが、上場公開企業でなければその方法もありません。

DAOという形態は従来の株式会社では実現できなかった「お店=お客さん」を実現できる可能性が見えてきたことに皆がワクワクしているのだろうと思います。


■GameFiのEarnはDAOの報酬のようなもの、と捉える

to EarnなGameFiの代表であるSTEPNも、運営とプレイヤーに分断していると捉えると「経済崩壊して稼げないじゃないか!!」「運営は何やってんだ!!」と運営に対してユーザーの立場からクレームを言うポジションに立ってしまう「従来型ゲーム」のように見えます。

しかし、運営もユーザーもSTEPN経済圏のDAOの参加者だと捉えると見え方が変わります。

歩いてGSTがEarnできることは、運営が設定したルールではなくゲーム参加に対するスマートコントラクト的な自動支払いの報酬。
報酬額の大きさは経済圏全体から支払われるものだから変動する。
ユーザーが増えるようにマーケティングするのは運営の仕事じゃなくDAOメンバー全員の仕事。
その結果STEPN経済が活性化すればDAOメンバーの報酬も増える。

こんな構造にも見えます。

AMAもDAOメンバーとのミーティングです。運営に対してユーザーの立場から責め立てる場ではありません。

まぁ運営方針をガバナンス投票で決めるなど意思決定のプロセスに入れない問題はありますが、STEPNは将来意思決定に参加する方法もGMTアーニングの向こう側に見据えているんじゃないかな、と期待したりもします。


■運営コストで対応すべきことをやってくれたらEarnがきっと流行る

EarnはDAOの報酬である。
と捉えると、以前のように「運営とユーザー」の関係だったころは運営側がコストを投じて対処していたことをユーザーがやってくれたら報酬を払う、ということもGameFiならやりやすいはずです。

GameFiの中にEarn報酬をトークンで支払う仕組みが内蔵されているわけです。

初心者ユーザーが困っていることをDAOコミュニティの質問受付でユーザーが対応してくれたらEarn。
広報、広告宣伝活動をしてくれたらEarn。
バグを見つけて報告してくれたらEarn。
改善提案をしてくれたらEarn。
投資家を連れてきてくれればEarn。
自己投資してくれてもEarn。

STEPNの中で「歩くと稼げる」というゲーム内にプログラムされたルールを消費者としてプレイする以外の、運営の肩代わりをするとEarn、というのを明示的に内蔵するGameFiはこれから増える、流行る予感がします。

歩いてもGSTが暴落して稼げなくなった!じゃなく、STEPNが運営され続けている限り運営コストは莫大にかかっているはずなので、そのコストを下げる貢献をしてくれれば運営予算を原資にEarn、はとても合理的です。

評価制度や報酬額の多寡は課題になると思いますが、運営コストを下げられてユーザーと一体感が持てるこのやり方は、組織がDAOではないかもしれませんが、DAO的発想としてGameFiと相性がいいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?