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『ビットコインのロゴデザインの歴史から既存IPのNFTプロジェクトへの応用を考える』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.6.21

■ビットコインのマーク、誰がデザインした?

暗号資産のロゴマーク、みんなカッコイイなと思っていました。


イーサリアムはひし形の立体オブジェの中に「E」が潜んでいるデザイン、

ソラナの「S」マークも秀逸ですよね。

まさかの柴犬。遊び心あります。

暗号資産の祖、ビットコインの「B」マークが以降の暗号資産にロゴマークやコインデザインを作る流れを作り、トークン・コインが作られるたびに素敵なロゴデザインが考案されてきました。

全部誰かがデザインしているわけで、デザイナーのストーリー作り力やストーリーをロゴで表す表現力は素晴らしいなぁと、どのロゴデザインを見ても感服します。


■ビットコインのロゴに関する記事は定期的に上がる

2019年5月28日の記事です。
ビットコインのロゴの歴史を2009年1月(あるいは3月)までさかのぼり時系列に丁寧に追っています。

ロゴの効果や狙いについても

他の一般的な通貨と似たロゴを作ったことによって、ビットコインは新しいお金として視覚的に受け入れられた。そして店のウィンドウに、VISAやマスターカードのステッカーと並べられるよう、入念に作ったことで、ビットコインは同時に、かつ明確に、支払い手段としての地位を確立した。

と明快に分析しています。


ちょうど1年前くらい、2021年6月30日の翻訳記事です。

その英語原文の記事は2017年5月17日に公開されています。


Bitcoinのロゴには様々な秘密が隠されていることをご存知でしょうか。Bitcoinとの関係が深い数字やSF小説からの影響、なぜ縦棒が2本あるのか、なぜオレンジ色なのかという疑問に関して説明されています。

リード文で「様々な秘密」の例が3つだけ挙げられていますが、目次には興味深い「秘密」がたくさん挙げられています。

Bitcoin Symbol and Logo Origins
Bitcoinロゴの誕生秘話
Bitcoinロゴの説明書
ロゴに隠された隠れ「B」
Bitcoinのロゴとブロックチェーンとの共通点
「B」の縦棒はなぜ2本あるのか
縦棒がBを貫通していない理由
縦棒のさらなる秘密
なぜオレンジ色なのか?
「B」を囲む◯円形の理由
円形のさらなる秘密とSF小説との関係
ロゴ全体を14度傾けた理由
オレンジ色の円形の大きさに隠された秘密
複数の楕円を組み合わせて作成したBの穴 

すべてに理由があり、すべてにストーリーがあること自体に惹かれます。
だから長年にわたって皆が興味を持ち、定期的に記事化されてきたのでしょう。


■二次創作による参加促進やビジネスチャンス提供の効果

改めて今回の記事に戻ります。

13年前にサトシ・ナカモトによってビットコインが発表されたとき、最初のビットコインのロゴは、以下のように、中央に「BC」の文字が埋め込まれた金貨を表していた。

サトシ・ナカモトがビットコインを発表したその時すでにロゴデザインをつけることが考案されています。初案は「BC」というロゴからスタート。

しかし、2010年2月24日、サトシ・ナカモトは新しいビットコインのロゴを考案し、「BC」の文字を「₿」に置き換え、金貨の中に埋め込んだ。

そしてサトシ・ナカモト自身が今のロゴデザインの原型である「₿」を金貨に埋め込んだデザインに変更。これが今のデザインに至る元祖です。

先述のフィル・ウィルソン氏の寄稿(の翻訳記事)によると

2010年2月24日にリリースされた初版のBitcoinの「B」のロゴは、私と他2人のクリエイターの会話から生まれました。図形の作成はPaint Shop Pro7で行いました。

と具体的にデザインの経緯や人物にも触れています。
「サトシ・ナカモトは新しいビットコインのロゴを考案」ではなく「フィル・ウィルソン氏と他2名のクリエイターの会話」で生まれた、としています。

しかしこの後、誰がデザインしたかに関わらない重要な意思決定がコミュニティ内で行われます。

コミュニティからのフィードバックに基づき、サトシ・ナカモトは新しいロゴに変更を加え、著作権フリーの画像をパブリックドメインで公開した。その後、このロゴは短期間のうちにビットコインの公式ロゴとして認められるようになった。

最も重要だろう出来事がこれ。
ビットコインのデザイン、ロゴマークを今で言う「CC0」=著作権フリー、パブリックドメインで公開します。

そして最終的に

2010年11月1日、ビットコインのコミュニティメンバーであるbitboy(YouTuberのBitBoy Cryptoとは異なる)は、サトシ・ナカモトのデザインに基づいたビットコインのロゴの新しいイテレーションを発表した。金貨を象徴的なオレンジの円に置き換え、 “₿” のロゴを14%時計回りに傾けたものだ。
コミュニティからの圧倒的な支持の結果、bitboyのデザインは過去12年にわたりビットコインの公式ロゴとして存在している。

ロゴマークをCC0化したこと。
ビットコインコミュニティの中でロゴデザインがブラッシュアップされたこと。
コミュニティの中で支持を得ることで公式ロゴとしての地位を確立したこと。

このコミュニティによるファンの巻き込みと熱狂の渦がブロックチェーン・クリプト界隈で今も共通する成功の方程式のように思います。

NFTアートでも、ファンコミュニティを中心にプロジェクトが進んでいき、クリエイター・エンジニア・マーケターなどそれぞれの得意分野で分担していく手法が今では当たり前になっています。

この手法は13年前のビットコインコミュニティですでに実行されています。

NFTアートが二次創作による巻き込みによって人気を博していくのも、自律分散型・非中央集権というビットコインが提示した文化に沿っている方が成功しやすいことを示しています。


■二次創作やコミュニティ運営が難しい既存IPでもやりようはある!

有名アニメIPなど既存の権利ホルダーがNFTに参入する時はさまざまなシガラミから二次創作やコミュニティ運営を実行できないケースが多く、売るだけ・買うだけになりがちなのはブロックチェーン文化の歴史から見て成功から遠くなるだろうと感じます。

既存IPでもやれる方法はあると思います。

たとえば二次創作もコンテスト制、公式による審査制を取ることでファンアートとしての巻き込みと作品世界やクオリティのコントロールが可能になると思います。

コミュニティについても、期間と目的を限定的に定めたプロジェクト型コミュニティとすることは可能かもしれません。
たとえば「オリジナルアニメーション作品を完成させる」という目的を提示し、完成と公開から一定期間までの限定コミュニティとするなど。

これらを組み合わせれば

・オリジナルアニメーション作品を作るためのNFTプロジェクト
・オリジナルアニメ制作の期間中のみコミュニティが稼働する

・NFTの販売益を元手に作品を制作するクラウドファンディング型
・従来の制作委員会方式と異なり、版元IPがパブリッシャー権の全権を持つことで権利関係を一元化する

・NFT購入者にはプロジェクトに参加する権利を付与する
・NFT購入者には作品中のキャラクターのビジュアルや設定などを考案できるが、コミュニティの意見とパブリッシャーとしての最終判断で決定する
(DAO的にフラットなコミュニティのガバナンス投票で、というのは今のシガラミの中では困難)

・NFT購入者には、最終的に制作されたオリジナルアニメーション作品の設定やキャラクターを反映させたNFTに初期のNFTを進化・交換する権利を与える。ただし交換するかはNFT購入者の判断に任せる。
(初期NFTのままの方が価値が付くのか、進化させた方が価値が付くのかの楽しみ方)

・NFTホルダーには次回の同様のプロジェクトで発売されるNFTの優先購入権が付与される。次回もまた参加してもらうことで、2回目以降のNFTプロジェクトの初速を上げ成功確率を高められる。

こんなやり方もできると思います。

単にNFTアートにして売るだけでは面白くない。
ビットコインから続くコミュニティや二次創作文化をうまく使って、IPの抱える課題の解決のためにNFTを活用できる、のが理想的です。

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