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『STEPN攻殻機動隊コラボでもEarn原資の構造問題は変わらず』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.5.21

■STEPN、日本アニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」とコラボ デジタルスニーカーを販売

フィットネスアプリ「STEPN」は18日、日本の人気アニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」とコラボレーションすることを発表した。

今回のコラボで、アニメをモチーフにしたデジタルスニーカーを抽選販売する。このスニーカーは、暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)との共同ブランドだ。スニーカーはすでに、NFT(非代替性トークン)電子市場「MOOAR」で、順番に販売が開始されている。

STEPNも未だにやってますし攻殻機動隊は好きなんですけど、スポンサー企業からの広告予算をEarn原資にするようなかたちでタイアップする構造変化をなぜやらないんでしょうか。

ユーザーがNFT購入に投じたお金を他ユーザーのEarn原資にする構造を変えずに人気IPでNFT販売数を瞬間的に増やしても、不治の病に対して短期の延命措置を採っただけに感じます。


Earn稼働率を下げ、高単価の売買を促す方が運営は儲かる

初期にNFTシューズを買ったら追い課金する要素や動機がほとんどないことがSTEPNの課題です。久しぶりに運営が動いたと思ったら攻殻機動隊シューズの販売という「初期にNFTシューズを買う」行為の促進でしかありません。

ある程度シューズが揃っている人は買い増し、買い替えのニーズはありません。それでも今回のようなコラボシューズを買う人はEarnするつもりがないか、シューズの値上がり差益を狙う転売ヤーです。ゲームそのものを楽しむわけではない人が払うお金で成り立つゲームというのは不健全に感じます。

今のSTEPN運営の収益構造からすると、GST/GMTの価格をあまり上げずにユーザーが歩かないように誘導し、高単価な新NFTシューズを売買させて大きな手数料を取る方が儲かります。

個人的にも未だにSTEPN9足10エナジーで歩いていますが、歩きすぎてヒザを痛めてしまい、最近ではSTEPN3連休したり10分だけ歩いたりとエナジーを使い切らない日も多くなってきました。

これは運営の思うツボです。シューズをすべて売却して手じまいするのではなく、持ち続けてユーザーであり続けるけれどEarnはしない、稼働率が低い、というユーザーはありがたいものです。

しかしユーザーがプレイしないことが喜ばしいというゲーム設計は絶対間違っています


鎌倉市もWalk to Earnアプリを出した

歩数やログイン回数などに応じてポイントが貯まります。貯まったポイントはAmazonギフトカードやnanacoギフトに交換したり、抽選で当たるギフトチャレンジに挑戦したりすることができます。

仕組みはSTEPNとはかなり違いますが、歩いてポイントを稼げるアプリというコンセプトは同じです。

我が家に投函されていた紙のチラシには「年間2000円分程度のポイントが稼げます」と書いてありました。STEPNの9足10エナジだとこれよりはもっと稼げます。

高齢化が深刻な鎌倉市で暗号資産建てのシューズを買わせるのは難しそうですが、同じようなサービスを市民に提供するなら、アプリ開発やマーケティングにかかる予算をSTEPNに拠出してもよかったんじゃないかと思います。

特に以前発表のあったLINEとSTEPNの提携で出るであろうLINE版STEPNならソラナ建てのNFT売買よりは簡単でしょうし。法定通貨建てでNFTが買えたりEarnしたGST/GMTをLINEポイントなどに交換できればソラナ版よりずっと使いやすいでしょう。これなら行政でも採用できるのでは。


STEPNはEarn原資の構造改革を

鎌倉市もウォーキング量と医療費や介護費の因果関係があるからこそ独自のウォーキングアプリを出しているのでしょうし、Earnがウォーキングの参加や継続の動機付けに効果的だということだと思います。

ならば既にユーザーを抱え運用実績のあるSTEPNが行政クライアントを獲得することは不可能ではないはず。

STEPNは、攻殻機動隊シューズを売るなどの付け焼刃な施策ではなく、行政や企業とのタイアップによるEarn原資の非ユーザー依存化という、もっと大きくユーザーが獲得でき、根本的にサービスの永続性を高められる構造改革を是非やってほしいと願います。

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