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花屋が薄利多売では立ち行かない理由

こんにちは。MORIYA森です。

前々回の記事では、起業を志す方からアドバイスをもらった時に、いつも伝えていることを書きました。

誰かにとって無くてはならない存在になり、その誰かにとって心から歓迎されるような心を揺さぶるようなサービス・価値を提供できるようになるというお話でした。

今日は、あるお花屋さんから【薄利多売】で厳しい。という質問を頂戴しましたので、お花屋さんが【薄利多売】をしてはいけない理由を書いていきたいと思います。同じ悩みで苦しんでいるお花屋さんに向けて、生意気を言うようで恐縮ではございますが、少しでも参考になればという気持ちで書いていきます。

お花屋さんで【薄利多売】はNGなのか

厳密にいうと、全てNGというわけではありません。生花を扱うにあたって薄利多売のスタイルで利益を出し続けようとする場合、いくつかの条件があります。

薄利多売OKな条件の1つ目は規模

(損益分岐点を超えるための大量生産・大量消費)
ホームセンターや、スーパーで販売されているような無人販売のカジュアルフラワーという形態であれば、格安販売されている代わり(原価率高)に、人件費や、加工費のコストが非常に少なく、大量に花のパックを製作することができます。ただ、ここで気を付けなければならないことは、薄利多売が故に大量に製作しなくては、商売として成り立たないという点です。大量に生産するだけの人員があることが一つ目の条件です。

条件の2つ目はコスト

ホームセンターや、スーパーで販売する場合は、あくまで販売委託という形になりますので、自社の工場で大量に製作し、各販売所に配達することになります。(1営業所で製作し、複数個所で販売できる強み)

①店頭販売メインでないが故に家賃を低く設定できる
②仕事の内容がシンプルなので生産効率が高く人件費を抑制できる
③販売促進費がかからない(販売委託料はかかる)

などのコストにかかるメリットがあります。
自社で大量生産を大量消費を実現しようとする場合、家賃アップ、人件費アップ、販売促進費アップと向き合わなければなりません。もちろん、大規模店舗を構え、リーズナブルな価格を打ち出して成功しているお花屋さんも多く存在しますが、条件①の規模の条件をクリアできている必要があります。

条件の3つ目は立地(人口)

これは条件①の規模の条件に関わってくるのですが、自店舗で大量販売をするには、立地が大きくかかわってきます。商圏とする地域にどれだけの人口がいて、どれだけの潜在顧客数がいるのかということが非常に大きな条件です。そもそも購入してくれる人数が少なければ、その商圏内の潜在顧客をすべて囲い込んだとしても、損益分岐点を超えるだけの売上を達成することができないからです。人口が密集しているエリア、商圏を広くとった場合でも交通の便が良く近くに人口密集エリアを抱えている必要があります。

それだけの地域が日本中探して、どれだけあるでしょうか。

条件の4つ目は商圏内に1つで十分

自店舗で薄利多売を実現する場合、その商圏において、リーズナブルなお花を購入することができる優良店だというブランディングが確立されているはずです。自宅で飾る人、料理店や事務所などで飾る需要、小物を作るクリエイター、華道やスクールの先生など、多岐に渡る顧客が定期的に訪れ、活気に溢れていることが容易に推察できます。地域の需要に十分に応えられるリーズナブルな形態での一番店であれば、スーパーやホームセンターのカジュアルフラワーに十分に対抗して優位性を発揮することはできるでしょう。

しかし、同じ商圏内にまったく同じ形態のお店が成り立つかと言えば、成り立つエリアは非常に少ないでしょう。そのようなお店は大量にお花を供給できるだけの力があるはずですので、お客さんが溢れてしまうなどということもありませんし、顧客も【価格】【コスパ】が動機になるので、優位性が明確なだけに一番店に集中します。

また、人口が減少している中でも、花きの1世帯当たりの切り花支出金額が劇的に落ち込んでいることも、この条件をより強固なものとしています。(1997年に13130円から2020年に8401円と右肩下がりと36%の減少)

ではどうすればいいのか

という質問が必ず上がると思います。様々なお花屋さんが独自で検討をし、素晴らしい成果を上げていると思いますが、僭越ながら僕の独断と偏見における考えを挙げたいと思います。(とはいて普遍的な内容です)

①徹底的な自分の振り返り
②ゾーンごとに分けた商圏の確認
③誰を幸せにできるのかの検討
④商圏と手法の設定(商圏内における自店だけが持つ強みを決める)
⑤自店がどこまで変わることができるのかの検討
⑥実行とブランディングの確立両輪
⑦①から⑥までを継続的にやり続けて刷新していくこと

これらの組み立てを一つずつ丁寧にやっていくことだと思います。
お店を開店した当時はもしかしたら最新でも、年数を経ていく中で制度疲労を起こしていくものです。
自分が変わっていくことを恐れず、常に今が初心だと心得て変わっていくことがとても重要です。

これらの詳しい内容については、次の記事で説明していこうと思います。
気になる方は次も是非読んでくださいね(#^.^#)

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