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「強さ」とは何か ~隻腕の剣士に学ぶ~

高宮敏光さんという剣道家がおられます。

以前、ドキュメンタリーか何かを見て、大変感銘を受けたことを覚えています。今は学校の先生をしておられますが、かつて剣道の全国大会で優勝されたりしています。

この方がすごいのは、片腕だということ。

幼いころに事故で右腕のひじから先を失っておられます。

剣道をやったことのある人なら、もしくは野球のバットを振っても分かると思いますが、片腕で棒を振るというのが、両腕で振るのと比較してどれだけハンデになるか。高宮さんはそのハンデをものともせず練習を重ね、大会で優勝するほどになられました。

高宮さんの言葉で何よりも印象的だったのは、「片腕でもできた」ではなく、「片腕だからこそ、ここまで来れた」「逆に両腕があったら、ここまでは来られなかった」と仰っていることです。

それには理由が二つあります。

一つは剣道の竹刀の持ち方において、「片腕だからこそできること」を見つけ、それを強みにしたこと。それは何かと言うと、相手との間合いによって、竹刀の持つ場所を変えるということでした。

これは本当にすごいことだと思います。

片腕だということは、普通はハンデだとしか感じられないはずです。周りの人たちもそのような目で見てくる中で、普通なら自分自身も「これはハンデなんだ」と思ってしまうはずです。

でもそうではなく、逆にそこに強みを見つけた

もう一つは、「片腕という環境の中で、一生懸命考えて切磋琢磨してきたからこそ、今の自分があるのだ」ということでした。「もし右腕が戻るなら両腕に戻りたいか?」と質問され、高宮さんは「自分は今のままでいい」と仰るのです。「この体だからこそ、今の自分がある」と。


「強さ」って一体なんなんでしょう?

私は高宮さんに、剣道家としての強さ以上に、人生を生きていく心の強さを感じました。(だからこそ剣道も強いのかもしれませんが。)

人として生まれたら、誰だって何がしかのコンプレックス(自分の肉体的なこと、親や兄弟などの家庭環境、お金の問題、等々)を抱えているものです。

周りの人と自分を比べて、「あぁ、自分だってこれさえなければ・・・」「自分の人生、せめて〇〇さえあれば・・・」と考えてしまうこと、誰にだってあるのではないでしょうか。

以下は高宮さんのドキュメンタリーです。見ていると自分の心の弱さがバカバカしくなります。

人の幸・不幸は生まれた環境や運命によってではなく、自分自身の心次第で決まるのだと、そのことを生き様で見せられているような気がしてきます。


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