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ユマニチュードというひとつの技術ーー『ユマニチュードへの道』を読んで

 イヴ・ジネスト 本田美和子著 誠文堂新光社 2022年出版

 「ユマニチュード」という言葉を知ってから、イヴ・ジネストさんたちのケアの方法が気になっていて、ちょうど図書館行ったら、棚にこの本が刺さっていたから借りて読んだ。表紙の絵は坂口恭平さんが描いたそうだ。

 ユマニチュードのケアっていったい何なんだろう、といろんな本読んで追ってきたけど、いろいろと疑問に思うこともある。この本は、日本に向けて書かれたような気がして、たとえば「絆」って翻訳されてるけど、著者の言語では何と言っているのだろう、と思ったりした。ユマニチュードのケアって相手を「一人の人間と思ってちゃんと接する」という当たり前のことを実践しているだけのような気もするけど、それが当たり前と思えないケアの現場が増えてきたから、こういう考え方が尊重されるようになってるのだと思う。

 「相手の自律を尊重することは、ケアを放棄することではありません。身体を清潔に保つことも、食事をしっかりとることも大切だからです。」

 というのは、もっともなことで、ケアとはそもそも相手の自律を促すことだと私も思う。最小限の補助で、なるべく自力で生きられるようにする。それがケアだと思う。足腰弱って立てなくなったら、介護する、というのではなくて、なるべく自力で立って身近なことを自分で行える状態をキープすることが大事なのだと思った。

 「「1.出会いの準備 2.ケアの準備 3.知覚の連結 4.感情の固定 5.再会の約束」という手順で構成され、この技術を「ケアの5つのステップ」を呼んでいます。」このように、ちゃんと言語化されて確立されているから、ユマニチュードのケアがひとつの技術として成り立っているんだろうと思う。

 言葉にして、ひとつの技術としてシステムを作ることが大事だということが分かった。


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