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映画と小説ーー山崎ナオコーラ著『人のセックスを笑うな』を読んで

 山崎ナオコーラ著 河出文庫 2006年出版

 この小説が出版された時、タイトルがなんじゃこれと思ってずっと気になっていて、Amazon primeでタダだったので、映画をみた。まあ、おもしろかったので、それなりに売れた小説だし、どんなだろうと思って読んでみた。ナオコーラさんは植物のエッセイを読んで、彼女に興味がわいたので一冊くらい読んでみようと思ったのも事実。

 この小説のタイトル、英語にしたらどうなるんだろう、とちょっと恐怖を抱いていたが、映画観てみたら、日本語のタイトルは『人のセックスを笑うな』だったが、下に翻訳されてた英語のタイトルは「セックス」という言葉はなく"Romance”に置き換わっていて、よかったーと思った。誰が英語のタイトル考えたんだろね。

 なんてことのない話で、なんてことのないことしか書かれていないのだが、青年の彼女と会わなくなることをなんとなく決意して、ときどき思い出して、友だちとなにげない青春を過ごし、ってそれだけの話なんだが、いわゆる男も女も「不倫はいけません」「私だけを愛して」とかそういう話に決してならず、磯貝くんとユリさんのなんてことのない話で、こういう小説よいな、と思った。

 映画は、永作博美演じる女性がペップトークのように、古いラジオでかけるテーマ曲を歌うのがとてもいい感じ。私はその曲を購入して自分のテーマ曲にしていた時期がある。自転車をこいでいるシーンもとてもよい。私はこの映画を観て、初めて松山ケンイチという俳優はとてもすてきだな、と思ったが、とても彼にあった役柄だったのだろうとおもった。

 小説と映画の関係を、私は結構考えるが、どっちの作品を先に読んだか、観たか、ということは割と観客の印象にどう影響するかは、みんなあると思う。

 最後の高橋源一郎の解説が、すげーおもしろい。ていうか、この小説を言い当ててる。こんなすごく的確に評した解説もあんまりないな、と思った。


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