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ミステリー小説における展開ーーピエール・ルメートル著『その女アレックス』を読んで

 ピエール・ルメートル著 橘明美訳 文春文庫 2014年出版

 推理小説、ミステリーはあまり読まないが、この本が出版された時、かなり話題になっていて読んでみたいと思っていた。勤め先の図書館で発見してすぐ読んでみた。

 このミステリー小説は売れただけあって、ストーリー展開がおもしろかった。殺人の場面などグロテスクな描写が多いが、それが大胆な描写でゲームのアニメを表出しているようで、展開に意外性がありこういうミステリー小説って今までになかったのかもしれない。だから注目されたのかもしれない。なんというか、場面が3D画像みたいに表現されている。

 この小説の感想を書くにあたって、ネタバレになる書評ってどういうものか考えてしまった。あらすじを書くと、ネタバレになる。オチを書きたくなるんだけど、書いちゃいけないと思うのが、ミステリー小説なんだろうかと、私はこの本を読んで思った。今まででミステリー小説と呼ばれるもの以外ばかりを読んでいたので、こんなことはなかった。よくnoteで映画の感想がアップしてあるのをみると、「ネタバレあり」とか注記してる人がいるけど、それって、あってもなくても変わらないんじゃ、と思っていた。書評読んだだけで、オチは記憶されるようなものではない気がする。

 しかし、こういうミステリーものの小説のおもしろさは、ナボコフの『絶望』には欠ける。ナボコフのあの小説は、小説ならではの意外性があって、あれを超える作品はない。この小説も読んでておもしろいな、とは思ったが、結末が文字を超えられない、というか、言葉ならではの意外性があっておもしろいとおもった。『絶望』という小説は映像では表現できないと思ったけど、この小説を読んだとき、こういう小説は映画にしても成り立つような気がした。でも、だからといって、この小説は、ミステリー小説として面白くないとは言わない。ネットで調べたところによると、この『その女アレックス』は三部作の二作目だそうだが、なんで二作目が日本で売れたんだろうな、という疑問が残ったのでした。

 でも読んでよかったと思った。この人が書いたほかの小説も、ぜひ原書で読んでみたいと思った。


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