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『ニッポンの芸術のゆくえ』を読んで

 平田オリザ 津田大介 青幻舎 2021年出版

 山内図書館行ったら、久しぶりに借りたい本が結構棚に刺さっていて、この本もそんな感じで出会った。津田大介と平田オリザの対談って珍しい気がして借りた。

 津田さんがキュレーションしたあいちトリエンナーレの後に書かれた本なので、その話を盛り込みながら、日本の芸術について述べられている本。平田オリザさんは、演劇方面でいろいろご活躍なので、そのことについて具体的な話が書かれていた。また日本の政治がどのように文化、芸術について援助や予算を組んでいるか、ということを疑問視した発言もある。

 私自身が、文化、芸術について興味を抱いてきた人生を歩んできた人だから、こういう本を読んでみようかな、と思うのは当然のことだが、こういうことを論じる本には、日本の政府が、芸術にどれくらいお金を積むかということを、しっかり議論してもらいたい。よく、例に出されるのが、フランスは美術館とか芸術関係で外国人にお金を落としてもらおうと考えていて、そのための政策がうまくいっているということで、日本はそれに比べると大分劣ると。事実、フランスは観光で莫大なお金を儲けているし、国が出してる額も日本と桁違いである。

 いつもこのようにフランスと日本の違いが書かれいる本を読むと、ほんと日本の政府って何やってるんだろな、と思う。それで、クールジャパンとかいって、マンガ・アニメとかだけに力を入れて国が援助してる姿がとても滑稽に思える。日本の政治家っていい歳した年配のおっちゃんたちなのにね。自分の国の芸術を国際的に広めるということは、いろんな国の芸術もとりいれなきゃいけないってことだし、日本はマンガ・アニメだけに強いといっている場合ではない。

 あいちトリエンナーレで慰安婦の像とか、いろいろ社会的問題に引っかかりそうな作品を津田さんは展示しようとしたが、問題がいろいろおきて、だいぶ話題になっていたが、それを狙っていたのか、それとも、何事もなく順調に展示が進むことを望んでいたのか、なんなのか、わかんないな、とこの本読んでも思った。私はそこが知りたい。

 要するに、この本のタイトルと、対談者二人の名前を見て、もっと事実に迫った活発な議論がされてるのかと思ったら、そうでもなかった。そうでもなかったが、すれすれのなんか隠しているような議論でもなかったんだが、私が知りたかった直接的な話はあまりされていないように思った。

 でも、久しぶりにアート関係の本読んで、まあまあ、面白かった本である。なるべく早いうちに一読すべし。


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