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SS火星に住む医者

#私のショートショート記録  2分で読めます!

2050年ー。
ここはNASAの施設内。僕は宇宙飛行士として火星に行くための準備を行っている。


来週末、このロケットで僕を含めた国際色豊かな10名のメンバーとともに、いよいよ火星へ飛び立つ。


2020年ごろから地球温暖化は取り上げられては来たが、どの国も”他国任せ”という考え方は同じようで、2040年ごろから一気に温暖化が加速した。夏場はどの国でも50度を超える有様となった。


そこで各国の政府は焦って火星への移住計画を狙うようになった。
NASAも宇宙研究の最先端機関として各国から最高峰レベルの人材を集め、火星への移住研究を行ってきた。今回の飛行はその検証段階に入る。


2050年6月2日ー。
「5.4.3.2.1.go.」
僕を乗せたロケットは火星へと出発した。
僕は体力に自信あったが、なんせ本物のロケットに乗るのは初めてだった。
月を通り過ぎた頃、突然呼吸が苦しくなり、めまいを起こした。
そして恥ずかしいことに、火星に着く頃には意識を失っていた。


目が覚めると中年の男が僕を見下ろしていた。
「大丈夫かい?きみはー、あー、あれだね、地球で言うエコノミー症候群ってやつだね」


中年の男は白い白衣を着て、まるで医者のような格好をして医者のようなことを言った。

「あなたは一体、、ここはどこですか?」
「ここは火星。私は火星で医者をやっている者だよ」


火星に医者だって?人間が住める環境ではないはずだ。まさか。
僕は耳を疑った。

その後、医者は丁寧に僕の治療をして、他のメンバーの怪我などにも即座に対応してくれた。
また、火星を訪れた人間に悪さをする宇宙人が多くいる場所、人喰いの宇宙人がいる場所、暑くて危険な場所、住まいに最適な場所など、さまざまな火星に関する情報を惜しみなく教えてくれた。
とても親切でありがたいので、数日間、僕らはその医者とともに地球で研究した内容の検証を行うこととした。


その医者と僕は頻繁に連絡を取り合うようになり、地球の話も多くするようになった。
「地球では今どんなふうに連絡を取り合っているんだい」
「インターネットから派生したインサンプロバイダというもので、リアルで人が話しているような投影した映像を通して話すことが多いよ。」
「どうして地球を抜け出そうと思っているんだい?」
「地球温暖化が進行して、今ではどの国でも50度を超えるほどになってしまったんだ。」
「へえ。それは大変だな。」
その医者は興味があるような無いような表情をしていた。


数ヶ月が経った頃、地球へ帰還する時期となった。
僕らは全ての研究を終え、地球へ帰還する準備を行った。


僕らは親切な医者に一通りの感謝を述べた。
「あなたのおかげで火星について色々と新しい発見がありました!移住計画も順調に進みそうです!数年後、もしかしたら数十年後になるかもしれませんけど、その時はよろしくお願いしますね!」


すると中年の医者は笑ってこう答えた。
「いえいえ、とんでもない。こちらこそ勉強になりました。地球について多くを知ることができました。こちらも移住計画がうまくいきそうです。」



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