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母方の祖父

母方の祖父をたまに思い出す。父方、母方両方の祖父祖母でなぜ母方の祖父なのか。それは物心ついた時に生きていたのが母方の祖父だけだったからだ。

私の母は7人兄妹の末子。なので私にとっての従兄弟も相当な人数で、ざっと20人くらいになる。余談であるが父も5人兄妹なので父方の従兄弟も合わすと相当な数だ。

祖父がまだ生きている時『こんなに孫がいるのに俺のことなんてわからんやろなあ』と思っていた。会うのも正月とお盆くらい。会っても挨拶程度。会うたびに私の名前を言うのではなく『英子(母の名)の子か』と母の名で確認する始末。

祖父が死んだのは私が中学生の時だった。正直悲しくはなかった。身内という感覚がなかったのだ。別に嫌いでもないしどちらかと言えば好きな方なのかもしれない。ただ正直に悲しくはなかった。

祖父のお通夜の日、『そう言えば祖父の名前ってなんやろ?』。 そう私は祖父の名を知らなかったのだ。なので母に聞いてみた。

『え? あ、そうなんや』

自分の子供7人、孫20人その中で唯一私だけが祖父の名を受け継いでいた。

私が産まれて1週間過ぎた頃、突然祖父が家を訪ねてきたらしい。     『名前決めたんか?』この問いに母親が名前を教えると母曰く 『嬉しそうやったで〜ニヤニヤして帰っていったで。』        

じゃ名前で呼んでくれよとも思ったが                  それを聞いた私もニヤニヤしていた。 

今は身内という感覚でたまに祖父を思う。

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