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カケラ

程よくネタバレ気にせずに記しているので、ネタバレに関してはご自身の判断でお願いいたします

オムニバスのように読みやすい
そしてすべてが「ここも?」なところも全部繋がっている
ずっと無自覚な毒素が流れ続けていて、どこか切ない至高のイヤミス
また内容を分かった上で読み直すと、別の感情が生まれる圧倒的世界観

さぁここからネタバレ全開でいきましょう


プロローグ

自信に満ち溢れる美容整形の女医さんで整形の正義を語っている
間違ってはいないんだけれど、どこか気が強く自信満々な人って感じ

ロック・ジュウヨン

痩せたい
昔は何をしていても痩せていた
妹は太っていた
おばあちゃんは痩せていることを怒ってくる
今は太ってしまったから、痩せたい
おばあちゃんは太ったわたしに気付かなかった
痩せているわたしを褒めたたえた
同級生の横網さんを横綱と呼んでバカにしてたよね?
サノちゃんも言っていたのにいつも怒られるのはわたし
おかしくない?

もう全部人のせい
ご都合主義で昔の学生時代の友だちに永遠自慢話と言い訳
現実を受け入れられない可哀想な人

最後の“割引して”には図々しくて閉口しちゃう

ドーナツの真ん中

鼻を整形したい
アイドルやっているけど、自然分娩だから鼻が低いの
帝王切開のあの子は鼻がキレイなの
転校生の横網有羽は親子で太ってた
でも有羽は太ってても明るくて同級生のチビの男子がこけたら担いでゴール
ドーナツは有羽の母直伝レシピでめっちゃ美味しい

え?帝王切開の子も先生の患者?ってところが痛快

横網親子の話?
有羽がドーナツに囲まれて自殺?

似たもの親子

久乃の元カレで息子は有羽と同級生
元カノが有名になったら未練タラタラ

息子は有羽ちゃんに抱きかかえられた子
東京で有羽ちゃんに会った時、ガラッと変わっていた

痩せた有羽ちゃんはドーナツを大量に買っていた
ここでもドーナツ


道徳とか、倫理とか

サノちゃんの友だち(ロック・ジュウヨンの時)の太っていた妹希恵ちゃんは有羽ちゃんの中学生の時の先生になっていた
モンペと思春期の子どもたちの闘いに疲弊して捻くれたのか

デブだから悪いの?
有羽ちゃんを無理やり痩せさせた人を恨むって。。。

あまいささやき

高校の時の先生
食が大事なのは分かるけれど、太らせていることも虐待って家にまで抗議に行く神経が暴走しすぎ
アメリカ留学で失恋して激痩せしてからの暴食で激太りして痩せたから?
自分の倫理を押し付けすぎ

あこがれの人

有羽ちゃんの本当のママ千佳さんに出逢ってわたしは変わった
おばあちゃんがドーナツの穴を覗くと自分の見たいものを映してくれる魔法の鏡みたいだと教えてくれた

おばあちゃんが病気になって、頑張って試行錯誤して作った
そして自分の体形でもモデルにしてくれた千佳さんも病気になったけれど、ドーナツを食べてくれた
娘の有羽ちゃんもドーナツを食べてくれた

幸せの象徴のドーナツ

あるものないもの

有羽ちゃんのカウンセリング
幸せで太っていただけなのに周りは虐待だと言う
わたしの躁鬱が激しくなってくる
わたしが痩せればいいの?
久乃先生お願いします。

なんで言ってくれなかったの?
有羽ちゃんの母親はわたしなのに
知らなかった?

目の前に千佳さんがいたと思っていろんなものを投げつけた
目の前に有羽ちゃんがいた
わたしは逃げた

有羽ちゃんは死んだ

エピローグ

わたしは顔がキレイだと言われていた
思ったことをハッキリ言う性格
気付かずに人を傷つけていた
ないものねだり

総評

久乃→サノちゃんと呼び名が変わり、横網親子も吉良って名前
久乃さんが自分の同級生から有羽ちゃんの同級生と自殺の真相を突き止めに聞き役として進む物語
久乃はほんの少しの発言とリアクションのみでほとんどはそれぞれの独白に近い言い分
だからこその、それぞれの主観で話している
悪気のない毒素、思い込みの正義がひしめいている

読み終わった後、呼んでいる途中にあれ?有羽ちゃん太ってた?痩せていた?横網さんの話?と呼んでいる途中で何度も最初から読み返したくなる
そして読了後にもう一度最初から読み直したい
今度は違うモヤモヤが出てくるから
分かっているからこそのモヤモヤ

これが2度愉しい湊かなえワールド
湊かなえ先生の中でも特に素晴らしい作品だ

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