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ファッションのリサイクル


すっごかった。

ガーンと頭を打たれたような感じがする。




横浜の産業地帯の中にある、ナカノ株式会社さんという洋服のリサイクルを行う会社さんを訪問した。

色んな業界のリサイクルの現場を見てみたくて、洋服のリサイクルをされている企業さんを探していたところヒットし、コンタクトしたら快く受け入れてくださった。
あとから伺った話だと、産業廃棄業界は基本的にものすごく忙しいのと、昔からのやり方が固定化しているのもあってインターネットでの発信にまでに手が回らないそう。

利益にはつながらないけど実態を知ってもらうことが大切だと考えています、
と、副社長さんが自らお話から工場内の案内までしてくださった。
こんなただの学生に対してもご丁寧に対応をしてくださったこと、心から感謝しています。




今回はななと、ゆりと一緒に行った。

中高の同級生のななは、大学で環境法を専攻していて、チェーン店のパン屋さんでバイトをしているのもあって環境問題に興味があるんだって。昔からずっと容量が良くて優秀な彼女は、目の付け所もわたしとは一味違くていつも勉強にさせて貰ってる。
ゆりは、小学校の同級生。卒業以来ずっと疎遠でSNSだけ繋がってる、みたいなありがちな関係だったけど、今回連絡をくれて久しぶりに会うことになった。こうやって同じものに関心がある友達ともう一度繋がれたりすることが多くて、その度に自己満足ながら発信してきて良かったなーとすごく思う。

わたしは色んな違う視点で捉えられるという点から、誰かと何か意見交換しながらフィールドワークをするのが好きなので
一緒に行ってくれる友達がいてくれるのがすごく嬉しい。
2人ともありがとう☺︎






ナカノ株式会社さんは、
主に横浜市から出た古着を回収してリサイクルに回す故繊維産業者さん。

毎日30t〜60t(時期によって入ってくる量は全然変わる)も入ってくる古着たちは

古着として海外へ輸出
ウエス(油拭き)に加工
繊維リサイクル

のいずれかの運命を辿る。



勝手に全部をリサイクルとして出しているものだと思ってたので、驚いた。


洋服に使われている素材は基本的に消耗品なので、リサイクルをすると質が落ちてしまう。
何度も溶かして転換する資源リサイクルをできる、鉄や紙とは訳が違う。
なので、一度与えられた役割をいかに長く正確に全うするかどうかが大切だそう。

着られるものは、長く着続ける。
使えるものは、長く使い続ける。

当たり前で、何度も聞いたような言葉だけど、
簡単に手に入る物で溢れる現代社会では
なかなか意識するきっかけってないから難しい。



①古着として海外へ輸出


家庭ゴミとして出された古着たちは、各々業者や自治体によって回収される。
ナカノ株式会社さんはその回収された古着を買い取り、それぞれの方法で、適した循環方法を与えていく事業を展開している。



出荷先は主に東南アジアの発展途上国。


日本人と体型や好みが似ており、
また、あんまり遠くに輸出してもコストメリットを産み出せないという点からも
輸出先として適地であるそう。


日本人の性格上 比較的綺麗に扱われている古着は
安くて脆い新品のお洋服を購入するよりも
好まれる傾向にあるんだって。


このように、毎日大量に入ってくる古着は
人の手によって選別される。

これは古着として出荷できるか否かを実際に手で触って確認している光景で、プロの方はものすごい早さで判別できるようになるって教えて頂いた。(すっごい…)

基本的に現地のニーズに合わせて(性別・気候・大きさ)選別をしているそうで、
この写真だったら手前に積まれているものはすべて冬物。これからの暖かい季節なので、それらは一緒に出荷しない。



「人は絶えず衣替えをするし、仕入れを調整できないことがこの仕事の難しいところです。
爆発的にヒットした洋服を把握するなど、ある程度予測しておくことも欠かせません。」

と教えてくださった。

実際に過去にユニクロのフリースが流行した時は、大量のフリースが入ってきたらしい。



最終的にお洋服たちはこのように圧縮されて出荷されていく。



資源がそのままの役割で循環できることは
コストの面も環境負荷の面も含め
ベストな選択肢だと思う。

その選択肢が1番初めにあるここの取り組みにとても魅力を感じた。



ただし問題もあって。
発展途上国の中でも少し発展している国ではファッションとして古着を取り入れる文化が少しずつ浸透しているけど、
大抵の市場では新品よりも単価が安いからという理由で購買する人がほとんど。
使えるお金が限られているからこそ、買うものがなんでもいいわけじゃない。

被災地援助とかにも共通する話だけど、
善意で送られた大量の古着の用途がなくて結果的にお金を払って処分せざるを得ないことになるケースも多くある。

どうせ古着として着られるならなんでも捨てていいっていうわけではない。

正義は行きすぎるとエゴになる。
それほどタチの悪いものはない

と、教えて頂いた。



古着を回収する人
リサイクルに回す人
売る人
買う人


捨てたその先に実際の人の手や思いがこんなにあると考えると、見方が全然変わるなあと身をもって感じてる。


もっと知ってその上で自分なりの選択したいと思った。

まだまだ知らないことが多すぎる🤦‍♀️。




②ウエス(油拭き)に加工


ウエスとは、工場などで使用される油拭きのこと。

こんな感じ


生地を生地としてそのまま活用する方が
エネルギーコストもさほどかからずに加工することができる。


一般販売はせず、工場に出荷する。


綿素材のものが主で、
年間約1000t作っているそうです。




③繊維リサイクル

手前から順に
リサイクル軽量土壌
コットン、ポリエステルなどそれぞれの素材から取った反毛
リサイクル素材の糸からできた生地



リサイクルされた糸は(ポリエステルだと特に)
どうしても太くなってしまい活用方法が限られる
難点がある


リサイクルによって作られる軍手


あえてこの色のこの見た目にしているそう。

「かつては真っ白の一般的な見た目の軍手も作っていたのですが、リサイクル素材だとどうしてもコストがかかり値段設定も普通の軍手よりも高くなってしまいます。その結果、消費者は当然安い方を買おうとするという問題が発生しました。その解決方法としてあえて、わかりやすくザ・リサイクルの見た目で作るようにしています。」

と、教えてくださった。


根深い。

リサイクル用品だとか環境に優しいものって
どうしてあんまり浸透しないんだろうって
ずっと考えてた。

それは結局既製品に対する差額に付加価値を見出せないからであって。
でもそれは別に誰が悪いとかではなくて、世の中がそうさせているんだからしょうがないことなんだろうなあとか思ったり。

だってわたしもお金をたくさん持ってるわけじゃないから選択肢は限られてくるし、それなら安い方買いたくなる。

だからこそ難しく感じる






食品リサイクルをされている日本フーエコロジーセンターさんに伺った際も同じことを仰っていたけど、


廃棄をゼロにするというのはあまりにも非合理的な考え方。
リサイクル率が低いことは決して悪いことではなくて、
まずリサイクルができるその技術が確立している事実を讃えるべきで。
捨てたその先に何があるのか、消費者ひとりひとりが把握していくことが大切
であるそうです。


・雨に濡れた衣服は価値が下がってしまうので雨の日には古着をなるべく出さない方がいいこと
・ファストファッションのみならずアパレル業界が作り出すお洋服はその半分ほどしか消費されていなくて、そのほとんどが処分に回されていること
・そもそもアパレル産業が情報開示をしたがらないため、一枚の衣服ができるまでにどの段階でどのくらい廃棄が出ているのかが不透明であること
・植物由来の素材、天然素材と聞くと聞こえはいいけど結局資源を減らしていることに何ら変わらりはない。海にあるごみとしてマイクロプラスチックよりも多いかもという例すらあるということ

そしてどの過程にも全部 人の手がかかっている ということ


普段生活をしているだけでは見えにくいこと。
毎日身の回りに溢れているものなのに全部全然知らなかった。




ものの価値とは、心があるかないかどうか
上勝町ゼロウェイストセンターの、私が大好きなももなさんが繰り返し仰っていた言葉


ファストファッションの現場を見てみたいと思ってアパレルでアルバイトを始めたけど、利益を上げるために毎日大量に入荷される新しい洋服や、それを手にしたお客さんの表情を見ていると、
社会にとっては悪者でも企業や消費者にとっては必ずしも悪者ではないのでは、
と感じるようになった。

もちろんだからと言って多大な環境負荷をかけている大量消費大量生産の象徴であるそれを肯定する理由にはならないけど、
わたしたちのようなお金がないけどおしゃれしたい学生にとっては
ファストファッションはそれに需要があるから浸透しているのであって、
強いて言うならそうでないと利益を出せない社会の仕組みが悪者であって。


買い物は投票と言うけれど、
消費者として私にできることは、手にしたものに責任を持つことなのかなあ
というのが、現時点での考え。

責任を持つとは具体的に
そのものを大切にすることはもちろん、
それがどこでどうやって作られているのかを知ろうとすること。(人権侵害や環境破壊に加担していないか等)
そしてそれを手放す時が来たら、その先はどう処理されていくのかについても。(焼却かリサイクルか、人の手に渡るならそれがきちんと扱われるのか)



これができるようになったら初めて
ももなさんの言葉に寄り添えるのかなあ。
環境に配慮した買い物をできてると言えるのかなあ。









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