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漫画脳展~写真展示の原点に返って~

漫画脳展2022年末拡大号 ムーニー劇場「大陸の迷蝶」

「漫画脳展」2022年末拡大号!無事終了いたしました。
まずは、ご来場いただいたみなさま、ありがとうございます!
そして、主催のケンタソーヤング(以下ケンタさん)、運営のみなさん、そして一緒に展示した出展者のみなさま、お疲れ様です!本当にありがとうございます!
そしてそして、今回のムーニー劇場は、
ちゃんめいさん
睦月 紫蘭さん
金澤 康二郎さん
正月 英明さん
根岸 基弘さん
真嶋 貴之さん
Chihiro Tadanoさん
のご出演、ご協力をいただきました!
出演者のみなさま、ありがとうございます!!

(←加筆しています。。。そういうところがボクのダメなところなんすよ・・・ごめんなさい反省。。。)

漫画脳展に出展するまで

思えば、2022年1月、正月も明けてすぐ、原宿のデザインフェスタギャラリーで開催されていた、第1回「漫画脳展」を観に行った。
ケンタさんにコンセプトを説明されて非常に感銘を受け、出展者でもないのに、「ボクだったら、何のマンガの、どんなセリフを選ぶだろうか?」と、今までボクが読んできたマンガの系譜を改めて頭の中で思い出してみた。

その後、1月28日から六本木にて「楳図かずお大美術展」開催。

ボクは、「マンガ好き」という人と比べると、読んだマンガは少ないと思うし、読んだマンガもかなり偏っている。
しかし、小学校の頃、いじめっ子の標的となることから逃れるための唯一の方法、それこそ、ボクが「自分でマンガを描くこと」だった。
「第1回漫画脳展」「楳図かずお大美術展」の感想と、ボクとマンガの関係については、以下の通りである。

全ては、既に2022年2月の時点で決まっていた!!

理想の共同体、不平不満をつべこべ言わずに、無ければ作ればよい!それが漫画脳展

今回の「漫画脳展」については、吉本隆明氏の著書のタイトルをお借りすると「共同幻想論」なんだな。

ステートメントにも書かれていたように、大小さまざまなギャラリーや飲食店での展示まで含め、仕事として、趣味として写真に関わる人間にとって、「写真展」への参加の敷居は下がった。
感染症パンデミックが下火になって、再び数多くの写真展が開催されることと思う。

ボクのnoteには、何度も書いているが、人間は本来社会的動物であり、戦後百年足らずの社会構造の変化に対し、簡単に従来の伝統的社会体制に依存した精神を捨てることなどできないと考えている。
伝統的な宗教観も捨て、伝統的村落共同体も捨て、家族的な終身雇用の企業社会も崩壊し、「個人の尊重」「多様性」を認めると同時に、「個人自由主義化」と「格差社会」が同時進行で急速に広まっていったとき、何の救済もされなければ、丸裸で投げ出された個人が「孤独」という絶望に陥ってしまうことに、非常に危機感を感じる。

いくら、周囲の社会共同体に不満があろうとも、人間はどこかの共同体に救済されるべき生き物なのである。

漫画脳展は、その社会共同体を、「無い」ならば、一から作ってしまおう!という一つの試みが、今回の漫画脳展におけるケンタさんの狙いだったのだろうと思う。
そして、ある意味、その狙いは達成されたのだと思う。
不平不満や批判ではなく、現代社会において、新たに社会共同体を生み出す、その労力とエネルギーは並々ならぬものである。

写真を撮るものとして、表現者として、その姿勢には、正直に感謝し、敬服するし、称賛に価する。
そのケンタさんを支えた運営のみなさんを含め、自分ではなく「誰かのために」生み出した、写真展自体が個々の表現の「集合体表現物」として(それは「アート」なのか「フェスティバル」なのか、どの言葉を用いるのが適切なのかは置いといて)、ロックンロールし始めたのである!!

もちろん、全ての写真展が社会共同体を補完できるようなものではないし、通常の写真展に共同体の補完などを求めるのは間違っているので、くれぐれもそこのところはみんな勘違いしないでほしい。
写真展は、本来の目的としては、ただ単純に「写真」を展示し発表する場である。
コンペティション形式のものもあるし、作品の販売が目的のものもあって当然なのであるから。

ただ一つだけ、もしかしたら書かない方が大人な姿勢なのかもしれないけれど、だれも書かないのであえて苦言を書く。
ある一人の作家に対して、あまりに崇拝したり、権威付けしたり、直接そうしなくとも、その権威付けに加担するのは避けた方がいいと思う。
いや、もちろん、著名な作家の方や、プロのカメラマンさんが一緒に展示していただけて、お話をお伺いできることはありがたいことなのです。それはわかっております。
でも、その作家さんもあくまで「一緒に」展示をするのであって、崇拝したり、神格化するものではない。
純粋に、誰か人のために共同体を作るまでの気概を持って、頑張っているケンタさんが、騙されてたりしないようくれぐれも気を付けてほしい。
これ以上は言いません。

作品「大陸の迷蝶」について

数年前、ボクは中国人マッサージのお店にハマっていた。
景気のせいか、コロナのせいか、最近は見られなくなったようだが、当時、日本全国どこでも、繁華街に行くと、中国人と思われる女性が街角に立って「マッサージいかがですか?」と客引きをしていた。

ボクが中国人マッサージにハマった理由は、通常の風俗で、あまりいい思いをしなかったとか、お金も無かったとか、いろいろ理由があるのだが、何より、中国人マッサージのお店の中は、カタコトの日本語しか通じず、完全に中国人女性たちによる異文化コミュニティが形成されており、その「エキゾチズム」に魅力を感じたところが大きい。
ある意味、パスポートの要らない中国旅行をしている気分だったのである。

終電を逃した後、街角の客引きに誘われるまま、雑居ビルやマンションの一室を改装したお店に入っていった。
写真作品の通り、室内はカーテンで仕切られており、マッサージベッドが並んでいる。
もちろん、客引きの時に提示される金額は、30分、1時間1000円とか、3000円の金額が提示されていたが、中に入ると、何か追加サービスをしてもらう度に、1万円札が飛んで行った。

「1万円!高いよ!5000円じゃ、ダメ?」
値切ろうとすると、突然彼女たちは、日本語ができないふりをする。
「イチマンエン!!・・・ゴセン??ニホンゴヨクワカラナイ!イチマンエンネ!」
仕方がないので、ボクは1万円札を彼女に渡した。

サービスが終わると、朝までベッドで(一人で勝手に)寝ていいよ、というのが、通例であったが、ボクはそんなサービス以上に、好奇心の赴くままに、できるだけ彼女たちの生活に入り込んでいこうと試みた。
彼女たちがサービスの途中に交わす、意味不明な中国語の会話やBGMで流れる中国ポップスに聞き入る。
たいていの場合、彼女たちの休息、生活空間も併設されており、トイレに干された彼女たちの服や、積み上げられた中国語の雑誌を読んだり、果ては、夜中に起きてみると、彼女たちがお店の中で鍋会を開催していて、何故かボクもその鍋を囲んで夜食を振舞われたりもした。

朝起きてみると、明るくなった店内で、夜の客向けのきらびやかな衣装とは打って変わった、飾り気のないジャージやスウェット姿の彼女たちが、歯磨きをしたり、パンを食べたりしていて、「もうサービスする気はありません!」という、化粧を落とし、愛想笑いをやめた仏頂面の彼女たちの、ありのままの素の姿を見ることが、ボクの楽しみであった。

感染症パンデミックになって、思うように写真作品の撮影も展示もできない中で、ボクは、韓国映画、中国映画を見まくった。
きっかけになったのは、韓国映画、ポン・ジュノ監督「パラサイト」がアカデミー賞を受賞したことだと思うが、2000年代以降、ボクが考えていた以上に韓国映画、中国映画のエンターテイメント性、表現力共に完成度はとんでもなく高くなっている。その中でも特に、ボクは、現代のリアリティを描く、韓国、中国映画を好んで観た。
ストーリーもさることながら、映画全体の雰囲気を醸し出す、どこかノスタルジックを感じるうら寂れた街並みや、工場、貨物列車などのロケーションに強く惹かれた。

ポン・ジュノ監督の「パラサイト」「タクシー運転手 約束は海を越えて」「殺人の追憶」に始まり、ナ・ホンジン監督「哭声」、ヤン・イクチュン監督「息もできない」、キム・ボラ監督の「はちどり」、イ・チャンドン監督「バーニング」。
中国映画では、フー・ボー監督「象は静かに座っている」、ディアオ・イーナン監督「薄氷の殺人」「鵞鳥湖の夜 」、ドン・ユエ監督「迫りくる嵐」などなど・・・

長々列挙させていただいたが、是非ともこれらの映画はオススメするので観てほしい!!
そんな韓国・中国映画への思いと、先に書いた中国人マッサージの思い出を融合させたものこそ、今回のムーニー劇場「大陸の迷蝶」なのである!!

マンガはどこ行った!?
いや、そこに、ボクが楳図かずお先生のエッセンスとして、「女性の強さ」や、「プラトニックでイノセント」なエッセンスを加えていくことで、ボクの作品は成り立っている。

現代の日本が失ってしまったのは、「アイ」、「愛」ですよ!!

そしてムーニー劇場は続いていく

そして、また自分で言いださない方が、大人な姿勢なのかもしれませんが、実は漫画脳展の展示準備と同時に作品も撮影しておりました。

この度、ムーニー劇場2022年新作が、第51回公益社団法人日本広告写真家協会公募展「APAアワード2023」にて入選しました!!
(WEB発表は入賞のみ、入選作は掲載されておりませんwww)

2023年2月25日(土)~3月12日(日)東京都写真美術館にて展示されます!やったね!!東京都写真美術館!!

漫画脳展に引き続き、コロナ禍でなかなか発表できなかった作品を発表する機会をいただけますこと、大変うれしいです。

新作については、奈良岬さん、繭乃さん、やまてさん、伊藤悠平さん、
KANAさん、後藤一平さん、末光美幸さん、根岸基弘さん、
ご出演、ご協力いただきましたみなさまに感謝申し上げます!
本当にありがとうございます!
作品のプリントはミカ製版さんです!
岩崎さんいつもありがとうございます!!

実は、漫画脳展の楳図かずおさんの「わたしは真悟」モチーフが、実は次回作品にも続いていくのです!
展示の詳細等につきましては、改めて連絡申し上げます!!

次回ムーニー劇場にも是非ご期待ください!!
ってか、お金もアイデアも出し尽くしたので、しばらく撮影は無理かもしれませんが、しかし、ムーニー劇場は愚直に続いていきます!!

あと、ボクの展示の原点でもある同時に渋谷で開催されていた「かめこ展」についても書きたかったけれど、長くなってしまったので、今日はこの辺で!

みなさま、本当にありがとうございます!!
そして、ケンタソーヤングさん、ご結婚おめでとうございます!!


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