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ポン・ジュノ監督「パラサイト」アカデミー賞受賞から、日本人の「時代」の意識まで

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ポン・ジュノ監督の「パラサイト~半地下の家族~」アカデミー賞作品賞受賞おめでとうございます!!

いやぁ、単純に、観に行って「おもしろい!」と思った作品だったので、受賞して本当にうれしいです!
ということで、監督も、内容について「ネタバレ」しないようにしてくださいね!!と仰っているので、ネタバレしない程度に少し書かせていただきたいです。

しかし、この作品の魅力は、話すと「ネタバレ」しちゃう、大どんでん返しの練られたストーリーだけではないと思います。
随所に仕込まれた、笑いのエッセンスも素晴らしかったし、しかしながら、その裏に、エッジを利かせて社会に切り込む鋭さ。面白く魅せられた後に、落ち着いて考えると、うすら寒くなる怖ささえ感じました。

ネット上では、外国語圏、しかも、アジアの作品が作品賞を取ったことで、「韓国映画界は・・・」「日本の映画界は・・・」という論調になっているようですが、そんなもの、日本映画で、ここまでしっかりと現代社会に切り込んだ作品があるのかよ!という。
まぁ、今回「パラサイト」と比較される是枝監督の「万引き家族」を、ボクはまだ観ていないのですが、戦後から高度経済成長期、そして、現代に至るまで、市井の人間を描くとき、「人情」や「ノスタルジー」というオブラードにくるんでしか、描けなくなってしまった日本映画。
寅さん然り、NHK連続テレビ小説然り、じゃないですか。

それがいけない、ってわけじゃないのですが、今回の「パラサイト」でポン・ジュノ監督が、「現代」の貧富の差を描くモチーフとして、「韓国」の歴史感も上手く取り入れて、そこにユーモアのセンスも加えて、切り込んでいった料理センス!!
上手かった!素晴らしい!!

日本でここまで「現代」に切り込んでいった映画ってあったのかな?

思い出してみると、映画ではないけれど、野島伸司脚本のKinki Kidsと赤井英和主演のドラマ「人間・失格〜たとえばぼくが死んだら」が思い当たったんだけど。。。

うーん、黒澤明監督の日本映画はもちろん素晴らしいのですが、侍が出てくる「時代劇」としての海外での評価を差し引くといかがなものなのでしょう。ああ、「天国と地獄」は、貧富の差を描いた現代劇だったか。

しかし、鋭く社会に切り込んでいたのかな???

「そんな時代だったのよ!むつかしいこたぁ言わないで」「おかえり寅さん!!」なんて言ってる場合ですか!?いや、寅さんも山田洋次監督も好きなのですが。

そうか、しかし、今回の「パラサイト」を観て、韓国の方がまだ、「若者社会」と言えるのかもしれないなぁ。日本に置き換えてみると、「パラサイト」に更に「少子高齢化」のエッセンスを加えなきゃいけない・・・となると、更に悲劇的になっちゃって、もう観ていられなくなっちゃうかもしれないよ。。。

「そんな時代だった」「そんな時代を描く」っていう時の、日本人の「時代」という概念、何なのでしょう。
英語に翻訳すると、「age」?それは年齢でしょう。
「generation」「era」「epoch」とも、少し違う気がします。

結局、「元号」を元にした、日本人の「歴史感」が、断続的な「時代」という意識につながっているのかもしれません。
どの「時代」を描くか?時代設定から入る、映画は、日本人は得意なのかもしれませんが、現代に脈々とつながる「歴史」=historyを描くのは、不得意なのではないでしょうか?

中島みゆきさんの「時代」の歌詞は、日本人の時間軸の捉え方なのかもしれません。


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