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金の企画、銀の企画

あなたが泉に落としたのは、この金の斧ですか?それとも銀の斧ですか?
そうですか、錆びた鋼の斧ですか。
では正直ものには全て差し上げましょう。

落としたものを正直に白状することで富を得た木こりの話です。
企て、企む企画の仕事においても正直であることが時に新たな成果に繋がることがあります。

あなたが企画書から落としたのは、この独自性の高い金の情報ですか?
それとも競争力の高い銀の情報ですか?
え?他社に劣る後ろめたい情報を落としたと言うのですか?
なるほど、正直ですね。
そんなあなたには未来に繋がるロードマップの可能性を与えましょう。

どんな商品でも、あらゆる面において競合の上をいくと言うことは決して多くありません。
独自性の高い仕様にコストを割いた結果、ちょっとしたことで劣る場合があります。
時には比較的優先度が高いはずの仕様で劣ってしまう為、意図的に企画上表現しない場合があります。
タイマー機能がないとか、原材料が中国産とか、バージョンが一世代前だとか、そういったものは比較的明示したくないものです。

ところが、この明示したくないものは社内的には明示したほうが良い場合があります。
課題や弱みが明確であるなら、それを改善することで次の製品の企画が立つからです。
比較的優先度が高いものを隠してでも進めるからにはきっと何かしらの強みを他に持っているのでしょう。
独自の強みを持っているものの、一方では一般的な仕様で劣ってしまうのであれば、劣った仕様の改善を最初から実施するよりも、第一世代はスピードを重視して第二世代で直す方が有利に競争を進められることでしょう。

商品を展開する時に時系列での進化を示す必要があります。
第一世代に全力を尽くしてしまって次の世代がいつまでも登場できなくなると商品の陳腐化が起きてしまいます。
弱みを明確にすることで次の打ち手が見えてくるのであれば、弱みをさらけ出すのもあながち間違いとは言えないことでしょう。
勿論これはあくまで社内的なものです。
外に向けてはメッキであっても金の斧として見せなければなりません。

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