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不確定な一手

向かい合う二人、長考の末に鳴るパチリという音。
テレビの向こうではざわつく観衆と嘆息を上げる解説者。
パチリ、パチリと音は続き、やがて静かに投了の声が上がる。
勝因/敗因は長考の末の不可解な一手。
その意味を読み切れた者が盤面の支配者になった。

将棋漫画で見られる熱い展開です。
追い込まれた主人公が打った不可解な一手が徐々に存在感を増していき、戦局を分かる場面で効いてくる。
未来を読み合い、より遠く深く読んだものが制する将棋において、不可解な一手には必ず戦略性が潜んでいます。

私たちの日常は将棋のように盤面や関係要素が明示されている完全情報ゲームではありませんから、未来を読みきって行動することはできません。
ただ一つ言えるのは、読める程度の変化では大きな成功も成長も起きないということです。

将棋において先が読めないからと言って一手犠牲にして不可解な動きをすることはありませんが、手数が決まっていない日常においては別です。
いつもと違うことをしてみる、普段ならやらないことに手を出してみる、そう言った変化ぎ後々に影響を与えることになるかもしれません。

企画においても全てが読み切れるようでは予測以上の大きな成功は見込めません。
不確定な要素を取り込み、更に読みを深めることでより良い成果に繋がっていくのです。

読み切れることを良しとせず、不確定な一手を盛り込んだ上で、その不確定をも読み切ろうとする。
どこまでも遠く深く読む姿勢、それが企画者としての資質なのかもしれません。

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