ニーズ創出の落とし穴

顧客ニーズの創出という言葉を耳にすることがあります。
意識されていないニーズ、潜在的なニーズに気付かせることで新たなビジネスチャンスを掴もうという意味合いですが、少しおかしなところがあります。

ニーズとは何かに対する欠乏の認識です。
空腹であったり、自己成長であったり、様々ですが、いずれの場合も人として生来備わっている感覚がニーズであって、新たに創出できるものではありません。
空腹に気付かせることはできても、空腹にさせることはできません。
前向きに過ごしたいという気持ちを喚起することはできても、前向きに過ごしたいという気持ちそのものを新たに生み出すことはできません。
この世に存在しない感覚を創り出すということになるからです。
正しく認識するのであればニーズの喚起であり、ウォンツやデマンドの創出です。

ニーズを創出できると考えてしまうと、市場に目を向けなくなるリスクがあります。
潜在的に存在しなくても後付けすれば良いので、顧客の状況を捉えなくても問題なくなってしまうからです。
勿論巨額の予算を持った大手広告代理店がブームを起こそうと思えば顧客を顧みずにブームを起こすことはできるかもしれませんが、それでもニーズの創出ではなくデマンドの創出に過ぎません。
そしてそこには大きな投資が必要になります。

マーケティングとは市場調査であるという誤解がありますが、市場調査なくして有効なマーケティング施策は打てません。
傲慢な市場調査にならない為にも、ニーズは創出するものではなく、見出して喚起するものであることを間違わないようにしましょう。

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