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縛られども自由たれ

「あなたが欲しいと思う製品を自由に提案してください」
そんな課題を与えられて、涎を垂らす勢いで動き始められる人は極めて少ないです。
その僅かな人々は例外なく優秀な暴走列車です。
自由なままにしておけばどんどん提案を固めていきますが、企業や組織の求めるものとは大きく離れていってしまうことでしょう。
出てくる提案には強い思いが込められますが、時として強い思い込みによって固まってしまっている恐れもあります。
企画者として思い込み、バイアスには常に注意を払わなければなりません。

一方で、自由すぎる課題に臆する人が数多くいます。
突然の自由に戸惑う人、自分のアイデアに自信を持てない人、企画をしたいという言葉とは裏腹に日常的なアイデア出しをしていない人など、理由は様々です。
そんな人々が求めるのが条件です。
カテゴリーは、販路は、顧客は、既存の延長で考えるべきなのか…。
条件というと賢そうに聞こえますが、言い方を変えれば縛りです。
自由であることを恐れ、自ら条件定義をできないことで他者からの縛りを求めてしまうのです。
そして与えられた不自由の中で不満の声を漏らしながらアイデア創出に励むことになります。

現実ではビジネスとしてアイデアを求められる時、自由に好きなようにということはありません。
あらゆる企画において縛りと言えるような前提条件が多数存在します。
その中で最適な選択を導き出すのが醍醐味です。私たちは常に気付かないところでバイアスに縛られています。
そして前提条件という目に見えるものにも縛られています。
可視の縄と不可視縄は相乗効果で縛めてくることもあれば、それぞれが影響してくることもあります。
大事なことは物理的に縛られていても心理的にまで縛られないことです。
バイアスは普段意識できませんが、意識して外すようにしなければいけませんし、前提条件は常に疑いの目を向けなければなりません。
常に縄抜けの意識を持たなければ、いざ自由になった時に何もできないからです。

縛りは人を拘束する為のものでもありますが、一方で大リーグ養成ギブスのように人を鍛える枷となることもあります。
束縛を不自由とだけ感じて不満を漏らすのか、心理的に自由な状態を保ったまま物理的に試行錯誤をするかは自分次第なのです。

あなたがアイデアを練る時、常に不自由な縛りが伴います。
それはあなたの理想を規制するものではなく、来るべき時の為のトレーニングなのだと捉え、自由に羽搏く力を養うようにしましょう。


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