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ニッチと呼ぶ勿れ

競争環境において自社の地位を正しく理解するのは重要です。
市場を支配するリーダーなのか、そこに挑むチャレンジャーなのか、僅かな利益で糊口を凌ぐフォロワーなのか、そして競争から少し外れた場所で領土を持つニッチャーなのか。
フィリップ•コトラーの地位別競争戦略ではそれぞれに対する戦い方が示されていますが、フォロワーだけが競争ではなく生命維持に焦点が当たっています。
リーダーになれないのはもちろん、チャレンジャーになるだけの経営資源がないのでフォロワーに甘んじているわけですからジリ貧です。
フォロワーが取るべき戦い方は唯一ニッチャーとして独自性を発揮することです。

競争環境においてリーダーに直接挑むのはある日農民が大名行列に挑むようなものです。
小揺るぎもさせずに打ち払われることでしょう。
「何かあったか?」「いえ、何もございません」
そんな程度の影響でしょう。
まずは自分たちの強みの発揮できる場所で独自資源を築き上げることが存在感をしめす最初の一手です。

我々はニッチャーになるんだ、そう宣言した時に気をつけなければならないのが内部の抵抗勢力です。
フォロワーは競争環境では弱いものの、内部環境にはちょっとしたメリットがあります。
頭を使わなくてもそれなりに市場で存在感が示せることです。
コモディティにちょっと工夫をして安く出すのは簡単です。
企画開発も営業もやることがシンプルです。
シンプルなのにそれなりに存在感を示せるので満足感は高く、自尊心も高くなります。
勿論利益は圧迫されるわけですが。
そんなそこそこの見栄えとそこそこの自尊心を持つ相手に対して「ニッチ戦略です」と伝えても響かない場合があります。
ニッチ=マイナーでマニアックな少数向け、そんなイメージが根強い為、ひろくあまねくなんでもよくなフォロワー商材とは真逆に振り切るような印象を持ってしまうのです。
時には経営層もニッチという言葉に懐疑的になってしまいます。

ニッチャー戦略、それは定番の戦い方の一つですが言葉の表面上のイメージばかりが先行して、悪く見られる恐れがあります。
時には有効に機能させる為にニッチであることとは何かを考えて言葉の置き換えをする必要があります。
集中戦略、フォーカス戦略、独自領域の獲得、言っていることは同じでも付随するネガティブな印象を取り去るだけでも受け手の気持ちは変わってきます。

ニッチであることは強みを引き出す優れた戦い方です。
もしその呼び名が足を引っ張ってしまう恐れがあるなら、定義を詳しく説明するよりも耳障りの良い言葉に置き換えて使いましょう。

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