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ダウトのダウト

ルールがある時には必ずかいくぐる裏技と超えてはいけない一線があります。
果たしてこれはどっちなのか、という事例です。

トランプのゲームでダウトをご存知でしょうか。
プレイヤーは順に、場にカードを伏せて出していきます。
最初の人はA、次の人は2、その次は3というように順番に伏せて出します。
出す枚数は自由で、同じ数字のカードを持っていればまとめて出すこともできます。
該当する数字のカードを持っていなかったら、別のカードを偽って出します。
周りのプレイヤーは宣言された数字と実際のカードが違うと思ったら「ダウト」と指摘します。
指摘が正しければカードを出したプレイヤーが、間違っていれば宣言したプレイヤーが場に出ている全てのカードを手札に加えます。
最終的に全てのカードを出し切れば勝ちです。

このゲームにはルール上、嘘が許されています。
持っていないカードの数字を宣言して別のカードを出してもいいですし、持っているのにわざと別のカードを出すのも許されています。
複数枚出す時に別のカードを混ぜるのも問題ありません。
何故ならダウト=疑うことがルールとして組み込まれているからです。

さて、嘘をつくことが許されたルールの中で気になるのがカードの出し方です。
正しい数字のカード2〜3枚の下に、複数枚のカードを隠して出したらどうなるのでしょう。
場にある程度の枚数が貯まったら、何枚場にあるかを意識する人はいなくなります。
正しい数字のカードの影で、その他のカードを大量に場に忍ばせるのです。
カードの隠し方をうまくすれば、ダウトを受けても正しい数枚だけを表に返すことでダウトを返すことができます。
通れば大量のカードを処理でき、ダウトを受けても誤魔化すことができる技です。
回ってくる順番が決まっている為、自分の手番の数字のカードだけ残して全て処分してしまえば勝利が確定します。

表に返したカードが正しいかどうかを確認できれば場の総数は意識しないという人の心理を突いた技です。
これはテクニックなのか、インチキなのか、判断は分かれることでしょう。
私は実行した時に上手く行ったことが嬉しくて笑いが止まらなくなった為にバレて罰ゲームを受けましたが、ルール上禁止されていない行為です。
プレイヤー全員がジャッジを務めて、ジャッジの判断によって結果を認められたからです。
手法がバレた為に批判の憂き目に遭ったにすぎません。

世の中には何層ものルールがあります。
法として明文化されたもの、社会の一員として暗黙の了解とされたもの、企業間の競争におけるルールなど様々です。
法を破ることはできませんが、暗黙のルールの裏をかくことはよく言えばイノベーションです。

ルールを破る人間たれとは言いませんが、常にルールの綻びを探しながらイノベーションを生み出す人材でありたいものです。

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