見出し画像

企画力は比較できない

企画力がない、商品企画力が弱いという言葉があります。
自社の業績が苦しくなる一方で、競合が堅実に売り上げを伸ばしているのを見ると、他社に比べて企画力が劣るのではないかという疑念が生まれます。
もっと企画力があれば市場の変化に対応した商品が出せるはず、ヒット商品がバンバン出せるはず。
そう妄想してしまうのも仕方ありませんが、企画力というものは他他社と比較できるものではないのです。

企画力とは一体何でしょうか。
情報を集める力、集めた情報を編纂する力、そこから新しいアイデアを構築する力、アイデアを実現する力…
多くの場合は既存の情報から新しいアイデアを生み出す力と考えられるのではないでしょうか。
この「新しいアイデアを生み出す」という言葉に夢を見すぎると誤解が生じます。
これは決して危機的状況を瞬時に解決するマジカルパワーではありません。
置かれた状況下に対応して変化する力です。
極限状態において生き残る確率を高める知恵を生み出す力とも言えます。
その環境から取り出せる以上の奇跡が起きるものではありません。

商品企画を支える環境には様々なものがあります。
営業前線からもたらされる売り手の情報、技術開発の最新情報や手が伸びる範囲の新しい情報、投資に関わる財務的な情報や、大きな方向性を決める経営の方針など、多岐にわたります。
それらの情報が前提条件となりながら新しいアイデアを練ることになるのです。
逆に言えばそれらの情報の内容や精度に応じてアウトプットは大きく変わります。

情報が少なくても投資意欲が強ければ力強いチャレンジができますし、チャレンジ精神が乏しくても情報と技術力があれば地に足ついた着実な進化ができます。
周辺の環境次第で企画のアウトプットは大きく変わる為、純粋に企画力というものを比較するのは困難なのです。
もちろん同じ組織に所属していればアイデアを創出する力の強弱はありますが、組織としては協力しなければならないので比較する意味はあまりありません。

自社組織に企画力がない、そう感じた時には企画力をサポートする情報環境がどうなっているかに目を向けましょう。
もしかしたら多くの情報の不足が企画の真価を発揮できない環境を作っているかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?