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商品力と世界観

メーカーでは商品力の有無が取り沙汰されます。
店頭販売の商品であれば、店に並べるまでは営業の力、そこから実売に繋がるかどうかは企画開発の力と言われます。
そこで競合に負ければ商品力が無いと烙印を押されるのです。

商品力の有無は3段階で考えられます。
まず他社に対して違いがあるか。
違いがなければ価格と確率でしか選ばれません。
次に他社に対して勝ち筋があるか。
違いが優位にはたらく場合がなければ意味がありません。
最後に顧客が買う理由があるか。
どんなに他社に優位性のある商品でも、顧客に買う理由、選ぶ理由がなければ無駄な商品になってしまいます。

違いや勝ち筋が見えない時、世界観という言葉が顔を出します。
カラーを統一してみましょう、デザインを推しましょう、情緒的な価値に共感してもらいましょう。
共感する世界観を作って、そして失敗します。

困った時に頼りたくなる世界観は商品力を高めるものではありません。
一定以上の力を持ったものに対して、付加的な効果を与えることはあっても、足りない力を補うものでは無いのです。
雰囲気は良いけど欲しい機能がない、雰囲気は良いけど商品の仕上がりが低い。
後出し世界観は何処かで綻びを生じます。

市場での競争は真剣勝負です。
各社が鎬を削っています。
言葉の通り、刀のぶつかり合いです。
玉鋼という原石を見出して、戦う形に叩き上げ、切れ味を求めてどこまでも磨き上げます。
切れ味のない刀に優美な鞘や鮮やかな柄巻を施しても戦うことはできません。
戦場においては切れることが第一の価値であり、生き残ってこそ装飾の美しさを示すことができるのです。
戦のない環境を作って芸術性を競うのもあるかもしれませんが、多くの環境は戦火に見舞われています。

商品力あっての世界観、その順番を意識してみましょう。

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