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2022年に読んで「良かったな〜」ってしみじみ思った本3冊

今年は今まで生きてきたなかで1番本を読んだ年だったかもしれない。
noteでいくつか紹介してきたけれど、まだ書けていなかった本のなかで「これは良かった!」ってものをいくつか残しておきたい。

『創造られたヒロイン、ナイチンゲールの虚像と実像』

女性の専門職、と考えた時思い浮かぶ仕事ってまだまだ固定されているかもしれない。
「看護師」という一職業を、成果が求められる「プロの仕事」にしたナイチンゲールの功績は素晴らしい。

しかし、私たちが思い描く「ランプの貴婦人」は、実際どのような女性だったのか?
ほんとうに物腰柔らかな、愛の天使なのか?
今となっては正確に感じ取ることはできない。

どのように語り継がれているかというと、「伝記」だ。私自身、ナイチンゲールを知ったのは、小学校に「偉人シリーズ」で置いてある漫画からである。
このような、「伝記」という形態のなかで彼女がどのように描かれてきたのかを辿れる一冊。
日本でどのように分析されてきたのかも興味深かった。

個人的には、最後に子ども向けの文章でかなり詳しい伝記が掲載されているのがわかりやすすぎて助かった!

『屋根裏の仏さま』


絶大なる信頼を置いている新潮クレスト・ブックスから。「写真花嫁」として、結婚相手の写真だけを頼りに渡米した女性たちの人生を淡々と語る。


たくさんの「私」の眼にする光景、感じる痛み。
ばらばらな映像や写真をごっそり集めて、1枚1枚めくっている感覚。
でも、それぞれの人生には確かな繋がりがあって、広がりがある。

いままで読んだ新潮クレスト・ブックスは景色の綺麗な本ばかり。

甘酸っぱい果実やガソリン、タバコの匂い。畑の土ぼこりや刺すような日差しの感覚まで伝わってくるような描写。
そしてなんといっても美しい表紙!!

没頭できる作品ばかりで最高のレーベルとの出会いでした。

『英国美術の英国らしさー芸術地理学の試みー』

「イギリス美術」ってなんだろうね?
以前から、仏伊とは違ったイギリス美術の性質について、ちゃんと知識を得ておきたいと思っていた。

今年、スコットランド国立美術館の展示を見たときに、ジョージ・モーランドの作品が示していた「リスペクタビリティ」。

追って、社会史をちょっと勉強した時にウィリアム・ホガースに改めて興味を持って、いい本がないか探したところ図書館で発見。


巨匠レノルズはもちろん、文学史の視点からも逃せないブレイクについての記載もあり、美術館で観たこと感じたことと、日頃の読書が通じる良い機会だった。

今年は考えたこともアウトプットもたくさんあって、仕事もかなり安定していて良い年!
来年はもっともっと、いい作品に出会いたい。

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