メンタルが安定していないとスタートラインにすら立てない
今年の春、会社を辞めてフリーになった。それからというもの、毎日ぐっすり7時間は寝て、3食しっかり食べ、ほどよく好きな仕事をし、たまに少し運動して、自由気ままに暮らしている。
ほとんどストレスのかからない生活をしているおかげか、最近はずいぶん心がおだやかだ。ここ数年ずっと感じていた倦怠感や慢性的な便秘もどこかへ行ってしまった。身体の調子が良いって最高。
会社にいた頃は、イケイケのベンチャー体質な社風になじめず、みんなと同じように社交的にふるまえない自分に落ち込み、どうしたらすんなり会社を辞められるかばかり考えて生きていた。始業から退勤までほとんど誰とも話さずパソコンに向かい、与えられた仕事を淡々とこなす。何事もなく一日を終えられれば合格。毎日がそのくりかえし。
ストレスでなかなか寝つけず、睡眠不足でずっとどこかの調子が悪かった。そして休日は泥のように眠り、一日をムダにして終わる。
このままでは本当におかしくなりそうだと思い、思い切って会社を辞めた。先のことは何も決まっていなかったけれど、メンタルがぐらぐらだったわたしに転職活動はストレスが強すぎて中断。なしくずし的にフリーランスになった。
今は業務委託でライターの仕事をしたり、自分でブログを書いたりして生きている。収入は安定しないし将来への不安はあるものの、今のところまあなんとかなっている。もしかしたら傍から見たら全然なんとかなってはいないのかもしれないけれど、自分ではなんとかなっている……と思っている。
なんとかなっていると思えているのは、きっとやりたいことが次々に出てくるからだと思う。ギチギチに予定を詰め込まないようにしているから、そうだ、今日はこれをやってみよう！次はあれもやってみたい！こっちはどうだろう？まあなんとかなるでしょ！と、毎日違うことを考えて過ごす。
そうこうしているうちにまた新しいワクワクが生まれて、前向きにいろんなことに挑戦できる。もっと勉強もしたいし、読みたい本もたくさんある。
心と時間に余裕が生まれて初めて気づいたのだけれど、何か新しいことをするにも、将来のことを考えるにも、遊ぶ計画を立てるにも、まずは自分の調子が良くないことには始まらないのだ。
ストレスフルで毎日を生きるだけで精一杯な状態で何かしようとしても、おもしろいアイデアは浮かばないし、勉強したり本を読んだりする気分にもならないし、新しいコミュニティに飛び込む勇気も出ない。
毎日を生きるだけで精一杯な状態が、全然「普通」ではなかったことにようやく気づいた。荒れ放題の土に種をまいても芽は出ない。丁寧に耕して雑草や石を取り除き、肥料をやり、良い土をつくる。そこでようやくスタートラインに立てるのだ。
でもこれは、渦中にいる間はなかなか気づけないから厄介でもある。わたしはたまたま限界を迎える前に自分で気づけたから良かったものの、たぶん限界を超えても気づけない人もいる。
とうに限界を超えているのに気づかず走り続けると、ある日突然パタリと動けなくなってしまう。実際にそういう人も見てきた。こうなると、荒れた土を耕すのにものすごーーーく時間がかかってしまう。
だから、もし今毎日を生きるのがつらくて、いっぱいいっぱいになってしまっている人がいるとしたら、無理に前に進まなくてもいいんだよ。「何かしなくちゃ」なんて考えなくていい。だってできる状態じゃないんだから。何も考えずにしばらく休んだっていい。
「置かれた場所で咲きなさい」とはよく言うけれど、カラカラに乾いた土やカチコチのコンクリートの上で花は咲けない。咲ける場所を探して別のところに移動していいし、自分で土を耕して畑をつくってもいいのだ。
ちゃんと夜寝て朝起きて、しっかりご飯を食べて、今日も生きているだけで超えらい！そうやって過ごして心と体の調子が整ってくれば、きっとやりたいことも良いアイデアも生まれるから。わたしがえらそうにこんなことを書いているのがその証拠（笑）。今では会社を辞めた自分の判断が間違っていなかったと自信を持って言える。
最近はずっとおだやかで前向きな気持ちでいられているから、もっと文章も書きたいし、いろんな仕事をしてみたいし、たくさん遊びたいし、人にも会いたい。この調子をキープして、これからもほどよくがんばっていきたいな。
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