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【IDと教員研修4】学習目標を設定する

前回の記事では,TOTEモデルをもとにした教材設計について述べました.事前・事後テストを考えていく際は,出口(学習成果を達成した状態)と照らし合わせて,どのような学びを取得するかを想定するかが大切です.

では,出口の姿をどのように設定していけばよいでしょうか.

授業でも,ねらいや目標,課題が設定されていることと同様,研修においても「学習目標」を設定して計画を作成します.インストラクショナルデザインにおける,学習目標を設定する方法と関連して考えてみましょう.


ガニェの5分類から考える

ロバート・M・ガニェについては,こちらをご参照ください.
今回話題となる,学習目標に関する5分類は,ガニェ博士がまとめた考え方になります.

学習目標を,あたま(認知的領域),からだ(運動領域),こころ(情意領域)に分けます.

あたま(認知的領域)には,「言語情報」「知的技能」「認知的方略」の3つの学習成果が考えられます.
からだ(運動領域)には,「運動技能」,こころ(情意領域)には,「態度」があります.
これらが,5分類です.IDの道具箱を参考に説明します.

あたま(認知的領域)に関する学習目標

言語情報は,指定された単語を覚える,再生できるといった,宣言的知識の習得を成果とします.漢字や計算方法を覚えるということもこの目標設定になります.教員研修では,学習指導要領に関する語句や,法令法規を覚えることをゴールとした場合が考えられます.

知的技能は,規則を未知の事例に適応するといった,手続的知識の習得を成果とします.2桁の足し算,書き換え問題などが課題となります.教員研修では,指導案で学習展開の順番を考えたり,1つの授業から見出した展開のモデルを別の授業に転用して考えたりすることが考えられます.

認知的方略は,自分の学習過程を効率化するといった,学び方を学ぶといった成果となります.自主学習の予定を計画する,といった課題は,子供も大人も共通になりそうですね.「方略」という言葉の意味も踏まえるともう少しイメージが膨らみそうです.

からだ(運動領域)に関する学習目標

運動領域は,その名のとおり,筋肉を使って体を動かしたりコントロールしたりする技能の習得が成果となります.タイピングや調理実習などが課題になります.教員研修では,ICTスキルの習得,チョークの使い方,絵画や工作指導における器具の使い方などが考えられます.

こころ(情意領域)に関する学習目標

態度は,普段から馴染みのある学習目標ですね.学習指導要領では,資質・能力の一つとして,学びに向かう力,人間性等といわれることがあります.学習評価の観点からは,主体的に学習に取り組む態度となっており,平成28・29年改訂の指導要領では,単に挙手の回数などではなく,粘り強さや自己調整を行なっている様相が重要とされています.

〇〇を行う習慣,継続して〇〇すること,といった成果が考えられます.教員研修では,どんな態度がゴールになりうるでしょうか.〇〇に入る言葉をイメージしてみてくださいね.

5分類が独立したり,組み合わさったりして学習目標が設定される

あたま・からだ・こころ,この要素に基づいて学習目標を設定することができます.しかし,これらは,独立した課題として設定されることもあれば,研修全体で複数の要素を組み合わせて設定されることもあります.

次回は,組み合わさった学習目標について考えていきましょう.

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