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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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#動物

【取材した怪談238】馬

四十代女性Lさんは幼稚園児のころ、ある特定の夢を見ると夢遊病状態に陥っていたそうだ。 当時、彼女の家族はアパートの2階に住んでいた。 彼女がその夢を見たときは、わんわんと泣きじゃくって、寝床から起き上がって部屋をふらふらと歩いて窓を開けて外に出ようとする。 バルコニーがないので落下するおそれがある。 そのため母親が常に近くで寝て、Lさんの症状が出るとすぐに自分も跳ね起きて幼い彼女を窓から遠ざけていた。 夢の内容は、一頭の褐色の馬が自分の目の前をただひたすら駆け抜けていく映

【取材した怪談話185】通夜の帰り

ウエディングプランナーをしていたAさんの体験談。 彼女が結婚式を担当していた新郎の父親が、式の二週間前に亡くなった。彼女はそのお通夜に参列することになった。会場までは、自宅から高速道路を通って車で向かった。 会場に到着し、悲しみに暮れるご遺族に挨拶した。もともと入院が長く危ない状態が続いており、家族は仕方がない状況と悲しいながら受け入れていたそうだ。新郎から「結婚式は予定通り挙げます」との意向をもらえた。 いろいろ大変だろうと思いながら、彼女を通夜の会場を後にした。会場か

【取材した怪談話154】新車でドライブ中……

※動物好きな方は閲覧注意 ・・・ Aさんの父親が大学生の頃、苦労してバイトに励み、紫色の軽自動車を購入した。その記念にと、友人を含めて四人でドライブに出かけたそうだ。父親の運転で、昼過ぎに出発して少し遠方の目的地に向かった。 好天のもと仲間と歓談しながら道路を運転中、左カーブに差し掛かったときだった。路面の左側に、何か黒いものが視界に入った。それが微動だにせず横たわる猫だと分かった時点では、もう車を避けきれなかった。 がこん、と、柔らかい肉塊を左タイヤが乗り越える感触

【怪談実話89】見守り

前話に引き続き、獣医師Nさんから聞いた話。 彼が獣医になって2年目の6月、勤務していた動物病院にチワワが救急搬送されてきた。高齢の雄だ。時刻は20時ごろだった。 速やかに診察・検査したところ、肺水腫と判明した。心機能の低下に伴って肺に水が溜まり、呼吸困難に陥る疾患である。即入院となり、飼い主さんには事情を説明して帰宅してもらった。 「入院して数時間後、チワワの容態が悪化したんです。心拍が低下して、チアノーゼ(舌色が紫に変色:危険な徴候)を呈してました。重篤な状態のため、

【怪談実話88】子牛

※動物に関して酷な描写が含まれますので、苦手な方はご遠慮ください。 ・・・ 男性獣医師Nさんが獣医学部生だったころ、2年次の必修科目『解剖学実習』で子牛を解剖したことがあった。 解剖学実習の流れは、以下のとおりだ。 ・生きている新鮮な子牛を、学生が屠殺する。 ・皮を除去し、筋肉をスケッチする。 ・筋肉を除去し、内臓をスケッチする。 ・内臓を除去し、骨格をスケッチする。 ・廃棄処分。 実習は、解剖専用の実習室(解剖実習室)で行われる。1日では全て終わらないため、屠殺し

【実話怪談46】境内の生き物

女性Uさんが中学三年のときの夏。 当時住んでいた福島県内の神社に、両親と姉の家族四人で訪れた。高校受験の祈願だ。 参拝後、父親と姉はバラバラに行動し、Uさんは母親と一緒に神社の裏の方をぶらぶら散策した。特に意味があったわけではなく、なんとなく歩いていた。 すると二人の目の前に、通路脇の石の後ろから七色のトカゲがひょこひょこと這って出てきた。全身に満遍なく鮮やかな虹色を呈しており、そんなトカゲはそれまで見たことがなかった。 「まるでシャボン玉の虹模様だった」とUさんは語る

【実話怪談41】嚙む場所

男性Aさんが引っ越した庭付きの一軒家には、一匹の野良猫がよく現れる。白と黒のぶち柄で、恰幅の良い雄猫だ。庭にトコトコ歩いて入ってくるため、よく可愛がっていた。 人懐こい猫だが、たまにAさんの脚の脛(すね)を噛んでくることがあった。噛むといっても出血するほどではなく、瞬間的な痛みを覚える程度だそうだ。 最初は気にしなかったが、ある規則性に気が付いた。噛まれるのは、自宅の庭のある特定の地点に彼が立っていたり、歩いたりするときだけだった。 気になったAさんがその土地に関して調