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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2020年12月の記事一覧

【怪談実話93】イボ取り

「鹿児島出身の両親や親族が使う、謎のおまじないがありました」と、女性Kさんが教えてくれた話。 彼女が小学生の時、小学4年の兄の手の甲に、小さいイボが出来た。 自宅の居間で父親がそれを確認すると、「よし、ちょっと待ってろ」と言って台所に向かった。居間に戻ってきた父親は右手に包丁を握りしめ、「こっち来て座れ」と兄を手招きする。 「おとうさん、こわいっ」 「いいから座れ」 父親は優しくにこやかな人柄だが、怒らせると怖いため、兄は半泣きで正座したそうだ。 父親は、怯える兄の前

【怪談実話92】渋谷怪談、二題

【1話目】渋谷の顔 東京・渋谷の顔と言えば、あなたは何を思い浮かべるだろうか。 ハチ公像、モヤイ像、スクランブル交差点、センター街、109(商業施設)、ヒカリエ(商業施設)、スクランブルスクエア(商業施設)、渋谷スカイ(展望台)……。この他にも、別の意味で「渋谷の顔」が存在するようだ。 女性Aさんは109でショッピングを楽しんだ帰り、JR渋谷駅ハチ公口改札を通過して、新宿方面の山手線ホームに続く階段を歩いていた。 「階段脇の壁全体に、顔が浮き出てました。横顔です。私と

【怪談実話91】封印されたUMA?

UMA(ユーマ):Unidentified Mysterious Animal(未確認生物)。伝承や目撃談、噂などで実在を主張されていながら、生物学的に確認されていない未知の生物を指す(Wikipediaより)。 ・・・ 女性Aさんが中学3年のとき、美術の卒業制作として印鑑ケースを作ることになった。朱肉と印鑑本体を収納するための木製の箱で、木材を彫刻し、ニスを塗布して完成となる。授業は美術室で行われ、Aさんは一番後ろの席に座っていた。 作業工程が進むにつれ、卒業制作用に

【怪談実話90】ピアノは違う気がする

男性Nさんは大学生のころ、家庭教師のアルバイトをしていたことがある。小学校低学年の女の子を担当し、国語や算数を教えていた。 彼女はピアノも習っており、そこそこ弾けるのだが、「なんか、ピアノは違う気がするの」と常日頃から違和感を示唆していた。 Nさん自身も長年にわたってチェロを嗜んでおり、クラシック音楽に造詣が深かった。あるとき、母親から「ピアノ以外だったら、どの楽器がいいと思いますか」と問われた。 そのとき彼は、フルートを勧めた。 女の子ということもあるし、ピアノ、バイ

【怪談実話89】見守り

前話に引き続き、獣医師Nさんから聞いた話。 彼が獣医になって2年目の6月、勤務していた動物病院にチワワが救急搬送されてきた。高齢の雄だ。時刻は20時ごろだった。 速やかに診察・検査したところ、肺水腫と判明した。心機能の低下に伴って肺に水が溜まり、呼吸困難に陥る疾患である。即入院となり、飼い主さんには事情を説明して帰宅してもらった。 「入院して数時間後、チワワの容態が悪化したんです。心拍が低下して、チアノーゼ(舌色が紫に変色:危険な徴候)を呈してました。重篤な状態のため、

【怪談実話88】子牛

※動物に関して酷な描写が含まれますので、苦手な方はご遠慮ください。 ・・・ 男性獣医師Nさんが獣医学部生だったころ、2年次の必修科目『解剖学実習』で子牛を解剖したことがあった。 解剖学実習の流れは、以下のとおりだ。 ・生きている新鮮な子牛を、学生が屠殺する。 ・皮を除去し、筋肉をスケッチする。 ・筋肉を除去し、内臓をスケッチする。 ・内臓を除去し、骨格をスケッチする。 ・廃棄処分。 実習は、解剖専用の実習室(解剖実習室)で行われる。1日では全て終わらないため、屠殺し

【怪談実話87】インターフォンとトランク

男性Aさんは、S県のオートロックマンションの5階に住んでいる。自宅のインターフォンは、共用エントランスのチャイム音と、玄関先のチャイム音が異なるタイプだ。 3年ほど前のある夜。0時半ごろ、自宅のインターフォンが「ぴんぽん」と鳴った。インターフォンの音は、玄関先のチャイム音だった。つまり、エントランスのチャイム音が鳴らない状態で、いきなり玄関先のチャイム音が鳴ったことになる。 Aさんも在宅していたが、そのときは息子さん(当時19歳)が応対した。彼がドアチェーンを掛けたままド

【怪談実話86】青木ヶ原樹海1(山梨)

元陸上自衛官Sさんから伺った話。 2015年の秋、深夜2時ごろ。 彼が所属していた部隊は、夜間戦闘訓練の最中だった。 訓練の内容は、最初にヘリコプターで山梨県の青木ヶ原樹海、いわゆる富士の樹海の上空を移動し、所定の目的地に降下後、想定上の敵部隊(実際は他の自衛隊員)と模擬交戦するというものだ。 どの地点にどのくらいの敵の数が配置されるかはSさんらには知らされておらず、駐屯地の作戦本部が把握・管理している。何か異状事態に陥れば、本部に無線で逐一連絡して指示を仰ぐ規則だ。

【怪談実話85】移転後のエステサロン

「もともと霊感があったんですが、人に触れる仕事してから、ますます色んなことが見えたり、起こるようになってきました」 エステティシャンのAさんが、教えてくれた話である。 彼女が20歳のころ、男性社長が経営するエステティックサロンで働いていた。 そのサロンでは、スチーマーの電源を消しても蒸気が出続けたり、カーテンの隙間から小柄な女性の霊(全身像は確認できず)が覗いてきたりといった怪現象が生じていた。だが彼女によれば、これらの現象は「可愛いもの」だった。 そのサロンは10人

【怪談実話84】予兆

約15年前の話。 6月、Aさん宅の固定電話に、知らない番号から電話が掛かってくることが続いた。自宅の電話機は、ごく一般的なナンバーディスプレイ型のものだ。 この不審な着信は、1週間の間に4回、それも毎回異なる番号だった。Aさんの父親が在宅しているタイミングで掛かってきたが、いずれも受話器を取る前に切れてしまったそうだ。 切れた直後は不在着信として着信元の番号が表示されたが、あとで番号を確認しようとして履歴を見ても、記録に残っていなかった。 4件ともそのような現象が起き