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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2020年2月の記事一覧

【実話怪談12】山陰の旅館

「修学旅行のときに変なことがあったの」 女性Fさんが、興奮ぎみに話してくれた。 彼女は高校の時、暇さえあればオカルト好きのクラスメイトと『こっくりさん』などに興じていた。それが影響してるかどうかは解らないが、就寝時に金縛りに遭うことが多かったそうである。 そんなFさんが高校の修学旅行で山陰地方の旅館に宿泊したときの話。 割り当てられた部屋は、年季の入った和室である。 その日は大雨が降っていた。 Fさんらが夕食を終えて部屋に戻ってみると、閉まっていたはずの窓が全開にな

【実話怪談11】特殊な金縛り(4話)

これまで拝聴した特殊な金縛りの実話をまとめてみる。 1人目:女性 学生のとき。一人暮らしの部屋。夜寝ていると、ぐらぐら、と部屋が揺れて意識が覚めた。地震だと思って身体を起こそうとしたが、金縛りで動けず、目を開けることができない。 部屋は激しく揺れ続き、モノが落下しそうなぐらいだった。揺れ続けるにつれて焦りと恐怖に襲われたが、しばらくすると金縛りが解けるのと同時に揺れも収まった。 その日から何日間か、金縛りが毎日続いた。金縛りには必ず部屋の揺れが付随したという。 この

【実話怪談10】シャワー

「不思議な出来事といったら、あれかな」 40代男性会社員Aさんが語ってくれた話である。 2008年の秋。職場の呑み会が長引いて深夜に帰宅したAさんは、夜2時ごろにシャワーを浴びていた。 「アルコールの余韻に浸りながら、いつものように身体を洗い流してた。ひんやり肌寒さを感じ始めた日だったから、温かい水流がすこぶる心地よく感じられた」 が、突然。 「シャワーから冷水しか出なくなってな。ガスの不調か何か解らないけど」 今までそんな現象が生じたことはなく、不意の冷水にAさ

【実話怪談9】亡き祖父と同室で寝た夜

「儂(わし)は、爺ちゃん子でな。ガキん時は、ずいぶん可愛がってもらったんよ」 元高校教諭のMさんにうかがった話。彼は、がっちりとした体躯と、任侠映画で主演をはれそうなほどの強面を備える男性である。今から四十年近く昔、X県の公立高校で教鞭をとり、野球部の監督を請け負っていたときの出来事だそうだ。 祖父が亡くなったという一報を受け、葬式のために隣県にある実家まで車を走らせる。その夜は、祖父の遺体と同じ和室で寝ることになった。 明け方でまだ暗い時間、目が覚めた。台所で母親と姉

【実話怪談8】もぞもぞ

20代男性Aさんが、関西地方の山奥に佇む旅館に友人らと宿泊したときの話。 長旅を終えて宿の和室に入り、一息つこうとしたとき。Aさんはシャツとジャケットを着用していたが、右腕の肘辺りに、もぞもぞする感触を受けた。その直後に、シャツとジャケットとの間から、それは姿を現した。 ボールペン1本分の長さはあろう、つやつやの光沢を放つ黒色のムカデ。 うねうね、うねうね、と多足を蠢かせながら、手の甲を指先に向かって這っている。 ぎょっとしたAさんは反射的に右手を何度かぶんぶん振り

【実話怪談7】バリ島のホテル(インドネシア)

2005年頃、当時20代の健介さんがバリ島に一泊旅行したときの話。宿泊予定のリゾートホテルに到着したが、手違いで予約した部屋に泊まることができなかった。 「代わりに別館を打診されてね。そこは料金が格段に高い宿泊ゾーンなんだけど、追加料金なしでどう? みたいな感じで。即OKして、客室案内スタッフに部屋まで誘導してもらったけど、家族連れや若者などで賑わう本館と違って、別館は宿泊客が少ないのか、しん、と静まり返ってて廊下もじっとりと薄暗い感じだったよ」 新たな宿泊部屋は、最上階

【実話怪談6】幽体離脱する方法

「一度だけ、不思議な体験したことがありますよ」 と言う、40代男性Kさんにうかがった話。 あるCDを自宅で座禅して聴いていたときに幽体離脱したという。 「『ヘミシンク』っていう音楽療法のCDがあって。左右の耳に違う周波数の音を流すことで、瞑想状態を作るんです」 より具体的には、右耳に100Hz、左耳に106Hzの音を同時に流して、その差分の6Hzでシータ波という脳波を誘導することにより瞑想、リラクゼーション、集中、癒し、ストレス解消などの効果が得られるものである。治療

【実話怪談5】不公平

「地元のX神社は森の中にあって、木に囲まれてて昼間でも陽の光があまり差さないからめちゃくちゃ暗いっていう噂だったんです。なので“探検”しに行こう、ってことになって」 千葉県勝浦市出身の男性、新田さんの体験談である。 小学5年ぐらいのとき。彼は友達と2人で、“探検”と称して街のあちこちを自転車で巡ることをしていたそうだ。 ある日の昼過ぎ、X神社にその友達と自転車で出向いた。 鳥居の近くに自転車を停め、拝殿やその周りを、特に何をするわけでもなく、ひとしきり見てまわる。

【実話怪談4】父の臨死体験

「30時間以上、意識不明だった」 父が自身の臨死体験を聞かせてくれた。 小学2年、1952年秋のある日、父は発熱して学校を休んだ。その後に意識不明に陥り、夜9時頃から緊急入院した。 ・・・・・・・・・・・・・・ 気がつくと、目の前に小川(川幅50cm~1m)が流れている。川の向こう側には広い草原が広がり、花畑も見えたそうだ。花の色は黄色や白色。 自分がいる側の状況は覚えていないが、とにかく川の向こう側は、すこぶる魅力的に映った。川を渡りたいのだが、なかなか勇気がでな